2017年5月15日月曜日

読書⑥


『村上春樹 翻訳(ほとんど)全仕事』
村上春樹 著   中央公論新社

村上春樹が手がけてきた翻訳の本、翻訳のやり方、
翻訳という営為の位置づけ、翻訳への思い、など
などを語りまくっている。「横のものを縦にする」
のが単純にたのしい、という春樹のさまがとても
よく伝わってくる。

私もいちおう村上主義者のはしくれとして、春樹
の翻訳したものは8割ぐらい読んでいると思う。
だがひるがえって考えても「名訳」と心底から思
うようなものは、実は思い当たらない。春樹はや
はり海外文学のすぐれた紹介者であると思う。
フィッツジェラルド、チャンドラー、カポーティ、
サリンジャー、アーヴィング、ヴォネガット、そ
してもちろん、カーヴァー。もし村上主義者でな
かったなら、私はこれらの作家に出会えていただ
ろうか。(この中でヴォネガットだけは訳してな
いですね)








『みみずくは黄昏に飛び立つ』
川上未映子 訊く 村上春樹 語る

こちらは以前"MONKEY"に載ったインタビューの続き、
というか大幅な増補というべきか。しかしただのインタ
ビューでは「あらない」。『職業としての小説家』と同
じ内容を話している部分も多いのだが、こちらは話し言
葉なのもあり、また違った率直さが感じられる。

春樹が過去の作品のことを「よく覚えてない」と連発す
るので、大部分は最新作『騎士団長殺し』に関したもの
となっている。それどころか副題になっている「イデア」
のことも、本当のところよく知らないし調べてもいない、
プラトンも別に読んでないと言って、川上さんを絶句さ
せている。でもインタビュアーとしての川上さんは勘が
良いと思う。春樹もいたく気に入っているようですし。

このあとは『卵を産めない郭公』を読まなければ。まだ
『プレイバック』も読んでいないのに。はあ。








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