2017年4月23日日曜日

レント ライヴ・オン・ブロードウェイ


☆☆☆★   マイケル・J・ウォーレン  2008年

ブロードェイでのファイナル公演を収録したもので、劇
場公開はされていないようだ。しかし後世に残すため、
明確なカット割りのもと、客も入れずに公演をまるごと
収録したという「ドキュメント性」を鑑みて、1本とカ
ウントさせていただく。

映画なら、観ていないものまで監督は誰だの俳優は誰が
出てるのどんな話だのと詳しかったりもするのだが、こ
とミュージカルに関しては予備知識はゼロである。
"RENT"とは「家賃」のことなのね。

主人公はロジャーとマークだろうが、「エンジェル」と
いう役の説得力が、この物語の成否を分けるという気が
する。ここではクリス松村に似た人が演じていたが、な
かなか素晴らしかった。
陳腐な言い方だが、歌というのは人為的な境界など無効
化し、越境していくものである。セクシャリティの壁、
富める者と貧しき者の壁、人種の壁を越えてつながろう、
というような題材にはよく合う。

                                                            4.9(日) DVD


2017年4月16日日曜日

アンタッチャブル


☆☆☆★★   ブライアン・デ・パルマ  1987年

禁酒法というのも面倒な法律だ。そんな法律があったって、
どうせみんな隠れて酒を飲む。その隠れて飲む酒を供給で
きるのは誰かというと、どうしたって闇の組織ということ
になる。だが闇組織を取り締まる警察の人間も、密造酒を
飲む。グレーな領域には利権や口利きの余地が生まれ、袖
の下が横行し、おいしい思いをする者が現れる。ややこし
い。

そんな時代に闇組織の頂点にいたアル・カポネを摘発する
べく立ち上がった財務省の捜査官がケビン・コスナー。困
難な道であることは言うまでもない。正義感と、相当なタ
フネスを求められる役である。仁義なき世界であり、「獲
るか獲られるか」の世界だ。ケビン・コスナーは、清廉な
イメージは良いが、ちょっと線が細い気もした。対するア
ル・カポネを演じるのはロバート・デ・ニーロ。迫力では
デ・ニーロの圧勝に終わった。バットを持って演説する場
面のヒヤヒヤすることと言ったらない。思わず胃がキュッ
となる。最後の乳母車と銃撃戦のシーンは何かの引用なん
ですか。すいません、映画史に疎いもので知りませんでし
た。

                                                      4.5(水) BSプレミアム


2017年4月14日金曜日

マラソンマン


☆☆☆   ジョン・シュレシンジャー   1976年

このへんの時期のダスティン・ホフマン出演作には妙
に心惹かれるものがある。フィルモグラフィーから私
が観たのを抜き出すと、『卒業』(67年)、『真夜中
のカーボーイ』(69年)、『クレイマー、クレイマー』
(79年)、『レインマン』(88年)。この間20年。
どれも鮮烈な存在感である。唯一無二。すばらしい。

しかしこの映画はなぁ…。
何度も首をかしげたくなるような展開が続き、「上出
来のサスペンス」とはとても言いかねる。なんとなく
それらしい雰囲気はあるので、説得されようと努力は
してみたが、「いやいやおかしいでしょ」がつい出て
しまう。歯の神経を痛めつける拷問かぁ。いやすぎる。
『アウトレイジ』で石橋蓮司の口の中を器具でぐちゃ
ぐちゃにするシーンはここから来ているのか。

                                           4.2(日) BSプレミアム


2017年4月12日水曜日

【LIVE!】 Base Ball Bear


バンドBのすべて 2016-2017

01. BREEEEZE GIRL
02. senkou_hanabi
03. 彼氏彼女の関係
04. ストレンジダンサー
05. BOYS MAY CRY
06. SCHOOL GIRL FANTASY
07. Transfer Girl
08. short hair
09. 初恋
10. 17才
11. 曖してる
12. Tabibito In The Dark
13. yoakemae (take2)
14. 海になりたい part.2
15. PERFECT BLUE

<Encore>
01. SHINE (新曲)
02. The Cut

                   3.29(水) ZEPP TOKYO

昨年の豊洲PIT以来、つまり湯浅脱退以来はじめて観る
ライブ。知らないひとに説明するとすれば、ミスチルか
ら田原さんが抜けるようなものである。詞曲は桜井さん
だし、ギターも桜井さんが弾けるけども、えーマジで抜
けちゃったの……という衝撃。しかしこういうドラマも
含めてバンドというもののおもしろさではある。

MCでも言ってたが、バンドはいつも通りというか、い
つも以上に過密なライブスケジュールを組んで、サポー
トギターを迎えながら着実にこなしてきた。私は「へえ、
止めたくないんだなー」と若干の尊敬の念を覚えながら
も傍観してきたわけだが。

今回はベスト盤のツアーということで、しかも行ってみ
てわかったけど最終日で、事前にファン投票でやって欲
しい曲を募ったりしてたことはまったく知らずに行って
しまい、ちょっと申し訳なかった。

サポートギターは弓木英梨乃さんという方で、どうやら
このひとに定着しつつあるようだ。新生KIRINJIのメン
バーでもあるらしく、私は知らないうちにCDとはいえ
すでに彼女のギタープレイを耳にしていたらしい。ぽっ
ちゃりめの可愛い女の子だが、出す音はチャットのえっ
ちゃん並みにソリッドで攻撃的だった。単純に音量がデ
カかったせいもあるが。

ベストアクトは「曖してる」かなー。
やっぱ「ソロ合戦」みたいなのが楽しい!

2017年4月9日日曜日

グッバイ、サマー


☆☆★★★   ミシェル・ゴンドリー   2016年

2本目はミシェル・ゴンドリー。
女の子みたいな見た目をからかわれている少年ダニエルは、
機械いじりが好きでガソリンの臭いをさせている風変わりな
テオと仲良くなる。ふたりは自由を求めて(青春映画はいつ
も自由を求める)ログハウスにエンジンとタイヤを装備した
キャンピングカーで旅に出る。

私はロードムービーにはついつい気を許してしまうのが性な
のだが、本作はいったいどこをどうおもしろがればいいのか、
退屈きわまりなかった。何も良いところなかったなー。

                                                         3.29(水) 目黒シネマ


2017年4月7日金曜日

裸足の季節


☆☆☆★★   D.G.エルギュヴェン   2016年

古い慣習に抑えつけられた美しい5人姉妹が自由を求めて
あらがう様を描いたトルコ映画。昨年、ちょっとした評判
だった。

評判に違わぬおもしろさと瑞々しさをみなぎらせたフィル
ムにしばし陶然となった。5人姉妹の弾けんばかりの肢体
でいっぱいになった画面を眺めているだけで幸福な気持ち
になる。
古い慣習とは端的にいえば処女信仰であって、婚前交渉な
ど論外どころか身の破滅、もっと言えば自死ものなのであ
る。もちろん女の方にだけ課せられた因習なのは言うまで
もない。

5人姉妹の両親は亡くなっており、祖母と叔父によって厳
しく育てられているわけだが、叔父のふるまいがおかしい
カットが2回ほどあった。いずれも夜中で、別の部屋に行っ
てたのか、車で外から帰って来たのか…? 暗くていまい
ちよく分からなかった。

                                                  3.29(水) 目黒シネマ


2017年4月4日火曜日

お嬢さん


☆☆☆★★    パク・チャヌク   2017年

パク・チャヌクは『渇き』が印象に残っていて、『イノ
セント・ガーデン』はパスしてしまったが、ずっと気に
なっていた。このたび145分の大作を上梓した("上梓"は
しか使いません 校閲部)と聞いて、魅了されるか心底うんざり
するかのどちらかだと確信し、観に行くことにした。

戦前の朝鮮。貧民街でスリの技術を身に付けてたくまし
く生きている孤児の少女スッキが、詐欺師と結託して莫
大な財産を相続する令嬢に侍女として取り入り、世間知
らずな「お嬢さん」をたぶらかして詐欺師と結婚させる
計画を企てるが……という話。
映像に力があるのは『渇き』で実感していたが、今回は
原作があるからかストーリーもうまく機能しており、2
時間を越しても飽きずに観られた。もちろんエロスもバ
イオレンスもてんこ盛りである。韓国人俳優たちのたど
たどしい日本語がまた異様さを倍加させる。韓国映画っ
てあまり「思わせぶり」で引っ張ったりしないよね。何
かほのめかしたら、もう次にはそのものずばりのシーン
が来る感じ。けっこう好きです。

                            3.26(日) TOHOシネマズ シャンテ


2017年4月2日日曜日

仁義なき戦い 完結篇


☆☆☆★★★    深作欣二    1974年

土曜日、しかも仁義なき戦いの二本立てともなれば、
文芸坐はほぼ満員である。
「完結篇」は菅原文太(広能)と小林旭(武田)が
引退することで終止符が打たれる。それで無益な暴
力の応酬が終わるわけではないが。ある意味で寂し
い幕引きではある。

上映後には、脚本家の高田宏治さんのトークショーが
あった。高田さんは笠原和夫が降りてしまった「仁義
なき戦い」を引き継ぎ、この「完結篇」を書きあげた。
得るものも大きかったが、失ったものや批判もかなり
大きかったことが口ぶりからうかがえた。その辺の空
気感は後から生まれた者には想像するしかないわけだ
が、フィルムを観るかぎり、世間から逆風が吹くほど
悪い出来でもないように思える。シリーズを締めくく
るのに、「広能の引退」というのは無理のない着地だ
ろう。

             3.25(土) 新・文芸坐