2017年1月15日日曜日

読書①


『赤めだか』
立川談春 著  扶桑社文庫

ひっさしぶりの読書なので、まずは軽く。
と思ったが、決してあなどれない巧さ。前座という「落語家
未満」の日々を回想しながら、現在の自分から見た「当時
の自分」というものもいいバランスで織り交ぜ、なかなか
絶妙である。立川談志という柄の大きな落語家の姿がい
きいきと立ち上がってくる。
これだけ会話が書かれてあれば、そりゃあドラマにだって
映画にだってなるだろう。










『ちろりん村顛末記』
広岡敬一 著  ちくま文庫

いわゆる「風俗ルポ」の先鞭をつけたひと、ということら
しい。

昭和40年代、琵琶湖のほとり雄琴(おごと)の田畑しか
ない地域に突如、蜃気楼のごとく顕れたトルコ風呂の
群立。誰が呼んだか"ちろりん村"の誕生である。最盛
期には関西はもちろん、北陸や関東、山陰からも客が
押し寄せたという。

一章づつ、トルコ風呂の経営者やトルコ嬢にスポットを
当てて生い立ちから現在の生活、そしてインタビュー後
の成り行きまで書き起こすのがいかにもルポルタージュ
という感じ。当時の風俗業界のさまざまな事情や力関係、
公官庁との関わりなど、非常に興味深いものであった。
今は知らないが、その道の人間に言わせると、そういう
事に関して、"県民性"というものは確実にあるらしい。な
かなか面白いので、詳しくは本書で読んでみてください。



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