2017年4月23日日曜日

レント ライヴ・オン・ブロードウェイ


☆☆☆★   マイケル・J・ウォーレン  2008年

ブロードェイでのファイナル公演を収録したもので、劇
場公開はされていないようだ。しかし後世に残すため、
明確なカット割りのもと、客も入れずに公演をまるごと
収録したという「ドキュメント性」を鑑みて、1本とカ
ウントさせていただく。

映画なら、観ていないものまで監督は誰だの俳優は誰が
出てるのどんな話だのと詳しかったりもするのだが、こ
とミュージカルに関しては予備知識はゼロである。
"RENT"とは「家賃」のことなのね。

主人公はロジャーとマークだろうが、「エンジェル」と
いう役の説得力が、この物語の成否を分けるという気が
する。ここではクリス松村に似た人が演じていたが、な
かなか素晴らしかった。
陳腐な言い方だが、歌というのは人為的な境界など無効
化し、越境していくものである。セクシャリティの壁、
富める者と貧しき者の壁、人種の壁を越えてつながろう、
というような題材にはよく合う。

                                                            4.9(日) DVD


2017年4月16日日曜日

アンタッチャブル


☆☆☆★★   ブライアン・デ・パルマ  1987年

禁酒法というのも面倒な法律だ。そんな法律があったって、
どうせみんな隠れて酒を飲む。その隠れて飲む酒を供給で
きるのは誰かというと、どうしたって闇の組織ということ
になる。だが闇組織を取り締まる警察の人間も、密造酒を
飲む。グレーな領域には利権や口利きの余地が生まれ、袖
の下が横行し、おいしい思いをする者が現れる。ややこし
い。

そんな時代に闇組織の頂点にいたアル・カポネを摘発する
べく立ち上がった財務省の捜査官がケビン・コスナー。困
難な道であることは言うまでもない。正義感と、相当なタ
フネスを求められる役である。仁義なき世界であり、「獲
るか獲られるか」の世界だ。ケビン・コスナーは、清廉な
イメージは良いが、ちょっと線が細い気もした。対するア
ル・カポネを演じるのはロバート・デ・ニーロ。迫力では
デ・ニーロの圧勝に終わった。バットを持って演説する場
面のヒヤヒヤすることと言ったらない。思わず胃がキュッ
となる。最後の乳母車と銃撃戦のシーンは何かの引用なん
ですか。すいません、映画史に疎いもので知りませんでし
た。

                                                      4.5(水) BSプレミアム


2017年4月14日金曜日

マラソンマン


☆☆☆   ジョン・シュレシンジャー   1976年

このへんの時期のダスティン・ホフマン出演作には妙
に心惹かれるものがある。フィルモグラフィーから私
が観たのを抜き出すと、『卒業』(67年)、『真夜中
のカーボーイ』(69年)、『クレイマー、クレイマー』
(79年)、『レインマン』(88年)。この間20年。
どれも鮮烈な存在感である。唯一無二。すばらしい。

しかしこの映画はなぁ…。
何度も首をかしげたくなるような展開が続き、「上出
来のサスペンス」とはとても言いかねる。なんとなく
それらしい雰囲気はあるので、説得されようと努力は
してみたが、「いやいやおかしいでしょ」がつい出て
しまう。歯の神経を痛めつける拷問かぁ。いやすぎる。
『アウトレイジ』で石橋蓮司の口の中を器具でぐちゃ
ぐちゃにするシーンはここから来ているのか。

                                           4.2(日) BSプレミアム


2017年4月12日水曜日

【LIVE!】 Base Ball Bear


バンドBのすべて 2016-2017

01. BREEEEZE GIRL
02. senkou_hanabi
03. 彼氏彼女の関係
04. ストレンジダンサー
05. BOYS MAY CRY
06. SCHOOL GIRL FANTASY
07. Transfer Girl
08. short hair
09. 初恋
10. 17才
11. 曖してる
12. Tabibito In The Dark
13. yoakemae (take2)
14. 海になりたい part.2
15. PERFECT BLUE

<Encore>
01. SHINE (新曲)
02. The Cut

                   3.29(水) ZEPP TOKYO

昨年の豊洲PIT以来、つまり湯浅脱退以来はじめて観る
ライブ。知らないひとに説明するとすれば、ミスチルか
ら田原さんが抜けるようなものである。詞曲は桜井さん
だし、ギターも桜井さんが弾けるけども、えーマジで抜
けちゃったの……という衝撃。しかしこういうドラマも
含めてバンドというもののおもしろさではある。

MCでも言ってたが、バンドはいつも通りというか、い
つも以上に過密なライブスケジュールを組んで、サポー
トギターを迎えながら着実にこなしてきた。私は「へえ、
止めたくないんだなー」と若干の尊敬の念を覚えながら
も傍観してきたわけだが。

今回はベスト盤のツアーということで、しかも行ってみ
てわかったけど最終日で、事前にファン投票でやって欲
しい曲を募ったりしてたことはまったく知らずに行って
しまい、ちょっと申し訳なかった。

サポートギターは弓木英梨乃さんという方で、どうやら
このひとに定着しつつあるようだ。新生KIRINJIのメン
バーでもあるらしく、私は知らないうちにCDとはいえ
すでに彼女のギタープレイを耳にしていたらしい。ぽっ
ちゃりめの可愛い女の子だが、出す音はチャットのえっ
ちゃん並みにソリッドで攻撃的だった。単純に音量がデ
カかったせいもあるが。

ベストアクトは「曖してる」かなー。
やっぱ「ソロ合戦」みたいなのが楽しい!

2017年4月9日日曜日

グッバイ、サマー


☆☆★★★   ミシェル・ゴンドリー   2016年

2本目はミシェル・ゴンドリー。
女の子みたいな見た目をからかわれている少年ダニエルは、
機械いじりが好きでガソリンの臭いをさせている風変わりな
テオと仲良くなる。ふたりは自由を求めて(青春映画はいつ
も自由を求める)ログハウスにエンジンとタイヤを装備した
キャンピングカーで旅に出る。

私はロードムービーにはついつい気を許してしまうのが性な
のだが、本作はいったいどこをどうおもしろがればいいのか、
退屈きわまりなかった。何も良いところなかったなー。

                                                         3.29(水) 目黒シネマ


2017年4月7日金曜日

裸足の季節


☆☆☆★★   D.G.エルギュヴェン   2016年

古い慣習に抑えつけられた美しい5人姉妹が自由を求めて
あらがう様を描いたトルコ映画。昨年、ちょっとした評判
だった。

評判に違わぬおもしろさと瑞々しさをみなぎらせたフィル
ムにしばし陶然となった。5人姉妹の弾けんばかりの肢体
でいっぱいになった画面を眺めているだけで幸福な気持ち
になる。
古い慣習とは端的にいえば処女信仰であって、婚前交渉な
ど論外どころか身の破滅、もっと言えば自死ものなのであ
る。もちろん女の方にだけ課せられた因習なのは言うまで
もない。

5人姉妹の両親は亡くなっており、祖母と叔父によって厳
しく育てられているわけだが、叔父のふるまいがおかしい
カットが2回ほどあった。いずれも夜中で、別の部屋に行っ
てたのか、車で外から帰って来たのか…? 暗くていまい
ちよく分からなかった。

                                                  3.29(水) 目黒シネマ


2017年4月4日火曜日

お嬢さん


☆☆☆★★    パク・チャヌク   2017年

パク・チャヌクは『渇き』が印象に残っていて、『イノ
セント・ガーデン』はパスしてしまったが、ずっと気に
なっていた。このたび145分の大作を上梓した("上梓"は
しか使いません 校閲部)と聞いて、魅了されるか心底うんざり
するかのどちらかだと確信し、観に行くことにした。

戦前の朝鮮。貧民街でスリの技術を身に付けてたくまし
く生きている孤児の少女スッキが、詐欺師と結託して莫
大な財産を相続する令嬢に侍女として取り入り、世間知
らずな「お嬢さん」をたぶらかして詐欺師と結婚させる
計画を企てるが……という話。
映像に力があるのは『渇き』で実感していたが、今回は
原作があるからかストーリーもうまく機能しており、2
時間を越しても飽きずに観られた。もちろんエロスもバ
イオレンスもてんこ盛りである。韓国人俳優たちのたど
たどしい日本語がまた異様さを倍加させる。韓国映画っ
てあまり「思わせぶり」で引っ張ったりしないよね。何
かほのめかしたら、もう次にはそのものずばりのシーン
が来る感じ。けっこう好きです。

                            3.26(日) TOHOシネマズ シャンテ


2017年4月2日日曜日

仁義なき戦い 完結篇


☆☆☆★★★    深作欣二    1974年

土曜日、しかも仁義なき戦いの二本立てともなれば、
文芸坐はほぼ満員である。
「完結篇」は菅原文太(広能)と小林旭(武田)が
引退することで終止符が打たれる。それで無益な暴
力の応酬が終わるわけではないが。ある意味で寂し
い幕引きではある。

上映後には、脚本家の高田宏治さんのトークショーが
あった。高田さんは笠原和夫が降りてしまった「仁義
なき戦い」を引き継ぎ、この「完結篇」を書きあげた。
得るものも大きかったが、失ったものや批判もかなり
大きかったことが口ぶりからうかがえた。その辺の空
気感は後から生まれた者には想像するしかないわけだ
が、フィルムを観るかぎり、世間から逆風が吹くほど
悪い出来でもないように思える。シリーズを締めくく
るのに、「広能の引退」というのは無理のない着地だ
ろう。

             3.25(土) 新・文芸坐


2017年3月31日金曜日

仁義なき戦い 頂上作戦


☆☆☆★★★    深作欣二    1974年

松方弘樹・追悼特集で「仁義なき戦い」の二本立て。

あるいは観たことのないひとは誤解しているかもしれ
ないので蛇足ながら前置きするが、「仁義なき戦い」
はまぎれもない"会話劇"である。言ってみれば「仁義
なき戦い」シリーズのおもしろい所と「真田丸」のお
もしろい所は、まったく一緒である。
そりゃあ体を張ったアクションシーンも見どころでは
ある。絶妙のストップモーションにはシビれるし、カ
タギとはいえない商売の女たちの艶っぽさを楽しみに
している御仁もおられるかもしれない。
しかし言わせてもらえば、そんなものは他の映画でも
見られる。「仁義なき戦い」を観ている時の私の脳は、
いつもヤクザたちの広島弁によるメッセージとメタ・
メッセージの応酬にシビれているのである。優れたセ
リフにはいつも二重、三重の意味が込められているよ
うに思う。笠原和夫はそういうセリフを書けるひとだ。

             3.25(土) 新・文芸坐


2017年3月30日木曜日

パーマネント野ばら


☆☆☆        吉田大八       2010年

そういえば原作は西原理恵子だった。
菅野美穂のパーマ屋に集う庶民たちのハートフルな交流
でも描いているのかと観る前は思っていたのだが、そこ
に集う庶民たちはみんな等しくイカれていた…。
行き場の無い恋愛、終わりの無い単調な生活。どこまで
行ってもどこにも行けないような"行き詰まり感"がやる
せなく描出されていて、退屈こそしないが、それは観て
いておもしろいかというと、さほどでもない。ラストシ
ーンの狂気が黒沢清っぽいと思った。
別に失敗作ではないけれど…。

                                              3.18(土) BSプレミアム


2017年3月24日金曜日

読書⑤


「劇場」
又吉直樹 著   新潮2017年4月号

ほんとうに「書ける」ひとであることを証明した2作目だ。
「恋愛小説」を志向したというが、まあ青春小説という気
もする。理由は、恋愛には必ず付随するある要素を排除し
ていたから。おそらく意図的に。
誰が見ても分かることだが、小説の成否はなんといっても
"沙希"という人物にかかっている。私には沙希はとても魅
力的な人物に見えた。

Nスペも観たけど、読む前に観なくてよかったよ。終盤の
ものすごく大事な場面まで朗読しちゃうんだもん。あれは
倫理的にアリなのか。私が又吉なら「えーマジか」と思う
と思うのだが。
『火花』の感想で「難しい」という声を多くもらって微妙
な思いだったという又吉。あれを難しいとかいう奴はもう
置いて行けばいいんじゃないかと思うが、又吉はそうは思
わず、なら次はもっとわかりやすく書こうと思ったという。
優しいのだ。









『神さまってなに?』
森達也 著   河出文庫

清水富美加の出家と同時期に文庫化されたので、ちょ
うど「神さまってなんだろうなぁ」とぼんやり考えて
いた時期でもあり、読み始めた。

森さんお得意の「そこで僕はかんがえる。」みたいな
感じの、読者にも考えさせる論法で、もともとは中学
生を対象にした「14歳の世渡り術」というシリーズの
1冊らしい。
森さんは仏教、キリスト教、イスラム教についてその
成り立ちから丁寧に説明し、もちろん宗教が戦争に利
用されてきた歴史や人間が集団化した時の危険につい
て持論を展開するのも忘れない。

森さんの知人が旅行から帰ってきたら熱心なキリスト
教徒になっていた話が興味深いが、逆にいえばそのよ
うな偶然みたいな"奇跡"でもなければ、おおかたの日
本人は「信仰」って何のことだかよくわからないので
ある。千眼美子さんのFAXにもそんなようなことが書
いてあったっけ…。少なくとも私はあのFAXに、日本
人の「信仰」に関する無関心さへの正確な理解を見ま
した。混乱の中にありながら、とてもよく書けている
文章だと思いましたけどね。私は文章のうまい女子に
は好感をもってしまうのです。まあ本人が書いたかは
知らないけども。




2017年3月21日火曜日

M★A★S★H


☆☆☆★★   R.アルトマン   1970年

朝鮮戦争の戦闘地帯に設営された「移動野戦病院」
通称"MASH"。何の略だかは忘れた。
そこへ赴任してきたふざけた3人の医者が起こす騒
ぎをブラックユーモアにまみれた描写でつないでい
く。ひたすら悪ふざけとシリアスな外科手術とが交
互に展開される2時間は、ひとによっては嫌悪の対象
でしかなかろう。冒頭を飾る"Suicide is Painless"と
いう歌も、ひきつった笑いにしかならないと思われる。
プロテストソング風のフォーク・ロックで、「自殺は
苦しくないよ」と歌われるこのテーマ曲が映画全体を
象徴している。
権力者なんて半分はコケにされるために存在している
と思っている人間にはけっこう笑えた。
侮辱だと勝手に周りが騒いでいる権力者もいるようだ
が、ぜんぜんヌルいですよね。もっと徹底的にコケに
して、呂律がまわらないぐらいにしてやりましょうよ。
あ、いつもまわってないか…。

                                          3.14(火) BSプレミアム


2017年3月19日日曜日

人生フルーツ


☆☆☆★★      伏原健之     2017年

地上波で放送されたバージョンで、劇場版より15分ほど
短いようだが、ここはご勘弁ねがってカウントさせてい
ただきます。かんにんかんにん。

はじめは老夫婦の穏やかな生活が淡々と描写される。畑
で育てた野菜や果樹で日々の食卓が彩られ、質素だがあ
る意味でとても豊かな生活。やがて視聴者には、夫婦が
暮らすのが愛知県の高蔵寺ニュータウンという宅地の一
画であり、夫の津端修一はその宅地計画の中心を担った
建築家であることが分かってくる。修一さんは90歳を過
ぎても現役の建築家なのである。

良い作品だった。ハーブ&ドロシーの時にも感じたが、私
は素敵な老夫婦ものにめっぽう弱い気がする。

                                                  3.10(金) フジテレビ


2017年3月8日水曜日

愚行録


☆☆☆★    石川慶     2017年

住宅街での一家惨殺事件、その現場をゆっくりドリーする
カメラを見ていて、そりゃ当然『怒り』を思い出す。いつ
壁に"怒"と血文字で書いてあるんだろうと待っていたが、
書いていなかった。当たり前だけど。

本筋にいたるまでのサイドストーリーが長すぎて、肝心の
満島ひかりの話のときにはだいぶ興味を失って少し寝てし
まった。脚本は向井康介なんだがなー。
殺害現場も、殺害にいたる過程も、殺人者の証言も、思わ
せぶりなだけで、決して恐くない。

ただ冒頭の、障碍者を装う妻夫木くんのシーンは実に「い
やな感じ」でとても映画的なシーンだった。★1コ追加。

                                                 2.19(日) 新宿ピカデリー


2017年3月6日月曜日

読書④


『騎士団長殺し 第1部 顕れるイデア編
『騎士団長殺し 第2部 移ろうメタファー編
村上春樹 著   新潮社

ちょうど休めない仕事が金、土とあり、月曜からまた仕事
だったので、ほんとうは日曜の1日で読んでしまうつもり
だった。それなのに、読んでも読んでも終わらない。その
日(つまり2/26だが)朝の8時半から深夜2時半まで、リ
ポビタンDを飲みながらほとんどぶっ続けで読んだが、そ
れでもまるで読み終わらなかった。
単純に会話が少なく、地の文が多いというのもあるだろう。
そして『1Q84』からだが、文章の「密度」とでもいうべき
ものが凄まじい域に達している。日本でいちばん文章の巧い
作家が、さらに自分の文体を磨きあげていくさまを目撃でき
るのは幸せなことだ。

RPGのテレビゲームみたいだという往年の批判もなんのその、
今回もアイテムとダンジョンとモンスターがわんさか登場し、
主人公「私」(名前は与えられていない)は持ち合わせの知
恵と勇気とウィットで冒険をクリアし、現実世界(?)に帰
還する。今回は珍しいことに、開始早々に主人公の現在の
(つまり「帰還」後の)状況が明かされるので、バッドエン
ドが待っていないことはあらかじめわかっている構成になっ
ている。そして主人公の住む家は数年前にArneという雑誌で
見た春樹の大磯の家を想起せずにはおかない。海よりも山が
見える…。

第3部はあるのだろうか。第2部の巻末には<第2部終わり>
としか書かれていない。数日来、そのことが気になって仕
方ない。仕事が手につかない…というほどでもないが。
免色という人物について、第3部でもっと多くのことが明ら
かになってもいいような気もする。



2017年2月23日木曜日

読書③


『挽歌』
原田康子 著   新潮文庫

釧路を舞台にした大ベストセラー小説として、名前は
ずっと聞いていた。昭和三十六年で七十万部というから、
空前絶後の売れ方だったろう。

ひねくれていてちょっと風変わりな少女と、妻子ある建
築家との、当世風にいえば"不倫モノ"である。これだけ
不倫ドラマが現実でも虚構でもまさに「掃いて捨てるほ
ど」あふれている今の世にあっては、しごくありふれた
恋愛物語にも読めてしまう。
4年間釧路に住んでいた身としては、具体的な地名こそ
出て来ないが、この「繁華街」はあの辺のことか、この
「丘の上の住宅地」はおそらくあの辺りだな、とかあち
こち空想がふくらんでおもしろい。
アミ、コキュ、ハズ…。もう使われなくなった言葉たち
にも出会える。








『高い窓』
R.チャンドラー 著  村上春樹 訳  ハヤカワ書房

以前は発売直後に買った『リトル・シスター』を読まず
に放置して、文庫が出てからようやく読み、いやー文庫
に追い抜かされちゃったよーなんて頭を掻きながら言っ
たものだが、事態は悪化している。『高い窓』はとうと
う『プレイバック』の翻訳が出てから読むことになった。
つまり春樹の翻訳のスピードにも負けたわけで…。ひど
い。村上主義者を名乗るに値しない体たらくである。

ブラッシャー・ダブルーンという希少なコインと謎めい
た美女といくつかの死体とをめぐる話で、いつものよう
に個性豊かな登場人物たちとフィリップ・マーロウの、
時に漫才のような会話とキレキレの文章を楽しむ。
ストーリーなど読んでいるそばから忘れていってしまう
ので、既にもうあまり覚えていないが、上質な文章を読
んだという満足感が残る。とても大きな満足感である。

さて、あとは春樹の新作を心を落ち着けて読むだけです
ね…。






2017年2月21日火曜日

ジュリエッタ


☆☆☆★   P.アルモドバル    2016年

誰も教えてくれなかったのですっかり見逃していた
アルモドバルの最新作。…と思っていたが、どうも
どこかで予告編は観ていたようで、断片的になんと
なく見覚えがある。

ある日突然、母親から逃げるように失踪した娘と、
その娘を忘れようと努めて生きてきたジュリエッタ。
恋人とポルトガルに移住しようとした矢先に、マド
リードで娘の友人と偶然再会したことで、忘れよう
としていた娘をもう一度探そうと決心する。

さしものアルモドバル御大も、お年を召し、そのず
ば抜けていた変態性にも翳りがみえるか。わりあい
オーソドックスな映画になっていた。ラストもえら
く潔いというか、車のCMみたいな終わり方でビック
リした。

そんななか、お手伝いのマリアンがアルモドバル的な
登場人物として異彩を放っている。表情が恐くて夢に
出そうである。

                                           2.11(土) 早稲田松竹


2017年2月19日日曜日

トーク・トゥ・ハー


☆☆☆★★   P.アルモドバル   2003年

早稲田松竹でアルモドバル2本立て。

事故で昏睡状態に陥った女を献身的に看護するベニグノ。
女闘牛士の恋人が同じく昏睡から醒めない雑誌記者のマルコ。
ふたりの友情ともつかない奇妙な関係を軸に、アルモドバル
特有のいくぶん滑稽に脱臼したような物語が展開される。
一日の出来事を語りかけながら、血行が滞らないよう丁寧に
マッサージを施し、体を拭くベニグノが泣かせるが、彼は元
気だった時の少女が通っていたバレエ教室をいつも見ていて、
お近づきになる機会をうかがっていたから話は厄介である。
アカデミー脚本賞受賞。

道路の向こうから微笑んで手を振るレオノール・ワトリング
の可憐さ。この破壊力たるや。

                                                       2.11(土) 早稲田松竹


2017年2月13日月曜日

アンチポルノ


☆☆☆    園子温    2017年

ロマンポルノ・リブート第4弾。いよいよ登場、園子
温である。

このひとが作りたいのはこういう映画なんだね。
たとえ「ポルノ」という枠を与えられようと、あまり
変わらない。そこでは現実と虚構が入り混じり、詩の
ような言葉ががなりたてられ、しばしば悪趣味なほど
の露悪的な過激さが追求される。
たしかに行定さんのようなロマンポルノを園子温が撮
る必要はないが。

                                              2.10(金) 新宿武蔵野館


2017年2月11日土曜日

最強のふたり


☆☆☆★★  エリック・トレダノ/オリヴィエ・ナカシュ  2012年

気付くとテキストのフォントが変わっており、なんだか色も
薄くて読みづらい。ブラウザのせいなのか、ブロガーのせい
なのか分からないが、元に戻そうと思っても戻せないのであ
る。しょうがないからこんなフォントにしてみました。まっ
たく満足していませんが。

『最強のふたり』は再見。
前のブログ記事によると、わざわざ札幌で観ているようだ。
なんとなくつけていたBSで、全部観るつもりはなかったが、
ついつい引き込まれて最後まで。黒人の介護士のほうに、
富豪との優雅な生活とはあまりに隔絶された家族との苛酷
な生活があるというのがひとつのアクセントである。
冒頭の"September爆走"シーンが、終盤でもう一度繰り返
されたときには、単なるお遊びではなく「淋しみ」が感じ
られるシーンとして再現される。なかなか巧い。

                                                  2.6(月) BSプレミアム


2017年1月30日月曜日

読書②


『テロルと映画』
四方田犬彦 著   中公新書

新しい年に景気の良い文章が読みたくて、多少のハッタリ
が混ざっていようとも、いつも威勢のいい四方田センセイ
の映画評論を読む。

「テロリスム」は、なるほど映画と切り離すことができな
い。私は犯罪映画を愛好するので、そういえば数え切れな
いほどのテロリスム、テロリストを映画の中に眺めてきた。
四方田センセイは本書において、ハリウッドで量産される
単純な勧善懲悪としてのテロリスム映画と、テロリスムを
そのような能天気な二元論で回収することなく問題提起す
る映画とを明確に区別して、もちろんおもに後者について
論じている。俎上にあがるのは、スピルバーグ、ブニュエ
ル、ファスビンダー、若松孝二など。

私はまだ『ミュンヘン』を観ていないのであった。









『映画もまた編集である ―ウォルター・マーチとの対話
マイケル・オンダーチェ 著  吉田俊太郎 訳  みすず書房

こないだの「村上さんのところ」のメールやりとりの中で春樹
が「おもしろかった」と書いていたので買ったのであった。

ウォルター・マーチはコッポラやジョージ・ルーカスと学生時
代からの盟友で、コッポラ作品の編集マンとして『地獄の黙示
録』『カンバセーション…盗聴…』『ゴッドファーザー』など
を手がけた。同時に彼はサウンド・エンジニアでもあり、多く
の映画のサウンドイメージを構築し、MAを手がけている。

編集とMAを同時に担当するということは、ポストプロダク
ションのおよそ8割を独りで占めていると考えていいのではな
いか。映画は「撮って来た映像」でしか形成できないのだか
ら、撮影現場で良い映像・音声を撮ることが重要なのは言う
間でもない。しかし、撮ってきた映像・音声を生かすも殺す
も、ポスプロ次第なのも事実である。そこにはまた別種の専
門性と創造性が必要なのである。

本書は作家のマイケル・オンダーチェが聞き役となり、ウォ
ルター・マーチがこれまで手がけてきた作品の技術的、時代
的、哲学的、創造的な側面について徹底的に訊いている濃密
な本である。マイケルは『イギリス人の患者』の著者であり、
その小説が映画化された『イングリッシュ・ペイシェント』
の編集とMAを担当したのがウォルターというわけである。
本書を読むなら『イングリッシュ・ペイシェント』『地獄の
黙示録』『カンバセーション…盗聴…』を観ておくとより楽
しめるだろう。

私はまだ『ジュリア』を観ていないのであった。

2017年1月25日水曜日

沈黙 -サイレンス-


☆☆☆★   マーティン・スコセッシ   2017年

観る前からわかっていることではあるが、2時間40分を
超えるこのフィルムは、終始、胃になにか間違ったもの
を詰め込まれたような、不快と緊張を強いられる重苦し
い映画である。そりゃあキリシタンが弾圧されている時
の日本にやってきた宣教師たちの味わう艱難辛苦と絶
望と裏切りと…を描いた小説が原作なのだから当然だ。

信仰と命とが常に引き換えだったこの時代の日本が、
ある意味では「信仰とは何か」を考えるうえで貴重なモ
デルケースなのだろう。だから自らの切実な問題として
スコセッシは長い年月をかけて原作と向き合い、映画
化を切望してきたのだろう。そこまでは分かるのだが、
しかしなぜここまで重苦しい映画を、たいへんな思いを
してまで撮るのだろうか。信仰するものといっては村上
春樹しかない私には皆目わからないところが残念だ。

まさに「神の沈黙」を表現していたと思われるいちばん
大事な場面でLINEの着信音を鳴らしたおばはんがい
たので、あのひとこそ穴吊りにして3日ぐらい放置した
方がいいと思う。

画像は『野火』でも大変な目に遭ってたのに、今度は
死ぬまで海中の十字架に磔にされる隠れキリシタン
の塚本晋也。

                                        1.22(日) 新宿ピカデリー


2017年1月20日金曜日

牝猫たち


☆☆☆     白石和彌     2017年

池袋のデリヘル待機所を中心として、デリヘル嬢の女の子
たちの「人間模様」を描いた作品。

映像も音声も、正直あまり感心しなかった。
手持ちカメラをベースにするのは構わないが、なんだか落
ち着かないフラフラした画で、気持ち悪かった。セリフは距
離感、空気感というものがまるでなく、おしなべてベタッと
した印象。アフレコもとても分かり易い。製作費が安いこと
を差し引いてもこれはねぇ。

良かったのはとろサーモンの演技。音尾さんも良かった。
ラブシーンもあるんですよ。どうでしょうファンは必見。それ
と主役のコが、角度によっては新垣結衣に似てる瞬間が
あったこと。興奮度も5割増である。

                                                 1.12(土) 新宿武蔵野館


2017年1月18日水曜日

【落語】 立川談春


立川談春 新春独演会「居残り佐平次」

『赤めだか』の余勢を駆って談春さんの落語を聴きに行く。
すぐ本物を聴けるというのが、東京ならではですなぁ…。

「居残り佐平次」は一文も持たずに遊郭でどんちゃん騒ぎ
し、金を払わないばかりか口八丁でうまいこと言って居座
り続けた挙句に、タバコや着物までもらって堂々と表から
帰った男の噺。もう爆笑につぐ爆笑であった。めちゃくちゃ
おもしろい。映画『幕末太陽傳』のベースとなった噺のひと
つでもある。

もうひとつは「紙入れ」という噺だった。いわゆる間男とお
かみさんの噺で、おもしろかったのだが、主人が不意に
帰って来てから間男が逃げ出すまでにあんなに時間があ
るものなのか。どうもかんぬきか何かで玄関を施錠してい
たようだけど、江戸時代の、主人の帰りを待つおかみさん
の行動として、それは普通なのかね。まあ治安の悪い地
域だったのかもしれないが。

                                               1.11(水) 品川 クラブeX


2017年1月15日日曜日

読書①


『赤めだか』
立川談春 著  扶桑社文庫

ひっさしぶりの読書なので、まずは軽く。
と思ったが、決してあなどれない巧さ。前座という「落語家
未満」の日々を回想しながら、現在の自分から見た「当時
の自分」というものもいいバランスで織り交ぜ、なかなか
絶妙である。立川談志という柄の大きな落語家の姿がい
きいきと立ち上がってくる。
これだけ会話が書かれてあれば、そりゃあドラマにだって
映画にだってなるだろう。










『ちろりん村顛末記』
広岡敬一 著  ちくま文庫

いわゆる「風俗ルポ」の先鞭をつけたひと、ということら
しい。

昭和40年代、琵琶湖のほとり雄琴(おごと)の田畑しか
ない地域に突如、蜃気楼のごとく顕れたトルコ風呂の
群立。誰が呼んだか"ちろりん村"の誕生である。最盛
期には関西はもちろん、北陸や関東、山陰からも客が
押し寄せたという。

一章づつ、トルコ風呂の経営者やトルコ嬢にスポットを
当てて生い立ちから現在の生活、そしてインタビュー後
の成り行きまで書き起こすのがいかにもルポルタージュ
という感じ。当時の風俗業界のさまざまな事情や力関係、
公官庁との関わりなど、非常に興味深いものであった。
今は知らないが、その道の人間に言わせると、そういう
事に関して、"県民性"というものは確実にあるらしい。な
かなか面白いので、詳しくは本書で読んでみてください。



2017年1月12日木曜日

ザ・ゴールデン・カップス ワンモアタイム


☆☆☆★    サン・マー・メン   2004年

今年の1本目。
伝説のバンド「ザ・ゴールデン・カップス」の足跡を追い
音楽関係者や当時バンドの近くに居た人物へのインタ
ビューで構成されたドキュメンタリー。
後半は、生存している(失礼)メンバーによるライブ演奏。

米軍の兵士たちが闊歩した敗戦後間もない横浜の街、
その「危ない」魅力をもった街の中でもひときわ異彩を
放ったバンドだったようだ。際立った「不良性」と、アレ
ンジの尖鋭性。その音は今聴いても確かにグッと迫っ
てくるものがある。メンバーは全員世の中を舐めきって
いるが、出す音はめちゃくちゃカッコいい。

インタビューにはたけしや清志郎や横山剣、当時の横
浜をよく知る飲み屋のママなどが登場する。たけしが
「おっかなくて近づけなかった」と述懐する当時の横浜
とはいかなる街だったのだろうか。

                                                       1.7(土) BS-TBS


2017年1月9日月曜日

【LIVE!】 でんぱ組.inc


でんぱ組.inc 幕神アリーナツアー2017 電波良好Wi-Fi完備!


ワケあって、でんぱ組.incのライブを観てきました。
ツアーの最中なのでセトリは控えます。

しかし幕張メッセで3日間やって、武道館でも1日や
るっていうんだからすごいですね。私は一夜漬けに
近い感じで曲を詰め込んで、メンバーの名前もうろ
覚えという状態だったので、ファンの方たちの「ファ
ンぶり」を堪能させてもらった。2人なのに4席押さえ
て(たぶん)ヲタ芸を披露している方、サイリウムを
3本持ってぜんぶ同じ色にしている方、など…。

私にとってヒャダインといえば、いつも年始にやる
「新春TV放談」で、毎年なかなか鋭い意見を言う
ひと、というだけで、ももクロもでんぱ組もこれまで
まったく聴いて来なかった。今回、ライブを観るに
あたって急いで予習したのだが、おもしろい曲が
多くて、なるほどなーと思った次第。ヒャダイン以
外の作詞家・作曲家もなかなか良い仕事している。

ライブ後、3枚組のベスト盤を購入して勉強中。
私は「でんぱーりーナイト」と「Future Diver」が好
きです。メンバーだともがちゃんが良いです。

                           1.6(金) 幕張メッセ イベントホール


2017年1月7日土曜日

年頭所感


年の始めに景気の悪い話で恐縮ですが、
今年の映画の目標本数を80本に下方修正いたします。
これは、近しい友人にも相談せず、株主総会にも諮らず、
勝手に決めました。

理由は明白で、本を読みたいがためです。
昨年、ノルマである100本をどうにか達成できたのは、
本を読む時間をそっくり映画にあてたからであり、
そのことへの不満というかストレスが私のなかで
徐々に高まっているのを感じております。

具体的な施策としては、
映画館で観る本数は減らさずに(35本程度)、
BSプレミアムで観るのを65本程度から45本程度に
減らすことで、合計80本としたいと考えております。

平均すれば、月に3度映画館に行き、週に1本BSの
映画を観れば達成できることになります。
そのかわりに本を読むと。

さて、うまくいきますかどうか。
とりあえずやってみます。

2017年1月4日水曜日

テレビドラマ 2016


次いで、去年観たテレビドラマを思いつくままに羅列。
連続ドラマは、全話観たものだけ。

◆ 連続ドラマ

「真田丸」 思い入れありすぎて、評価・コメントはできません。
「とと姉ちゃん」 うーん印象に残ってません。
「べっぴんさん」 いちおう観てる。おもしろくはない。
「精霊の守り人 Season1 良いんだけど、CGがちょっと…。
「わたしを離さないで」 暗い。救いがない。でもそこがいい。
「恋の三陸 列車コンで行こう!」 おもんなかった。
「ゆとりですがなにか」 やさしく、深く、おもしろい。クドカン、きみは井上ひさしか! 素晴らしいです。
「その「おこだわり」、私にもくれよ!!」 この「連れていかれる感」はすごいよね。
「スニッファー 嗅覚捜査官」 最後までわりと楽しんだ。
「夏目漱石の妻」 とても良いドラマ。
「トットてれび」 とても良いドラマ。
「地味にスゴイ! 校閲ガール」 最初の4話ぐらいは楽しく観た。
「シリーズ・江戸川乱歩短編集」(満島ひかりのやつ) 満島の独壇場。身のこなしに魅了される。
「シリーズ・江戸川乱歩短編集Ⅱ」(満島ひかりのやつ) "人間椅子"の満島も良かった。
「シリーズ・横溝正史短編集」(池松壮亮のやつ) 3話目がよかった。花びらが頭にいっぱい刺さってるやつ。
「ドラマ 東京裁判」 ずっしりと腹持ちはいい。『東京プリズン』読まないと。


◆ 単発ドラマ

「ドラマ戦艦武蔵」 ふつう。
「進め! 青函連絡船」 青森発ドラマ。
「百合子さんの絵本 〜陸軍武官・小野寺夫婦の戦争〜 結構よかった。
「未解決事件 File.05 ロッキード事件」 こういうの好きで、観てしまう。
「おかしな男 ~渥美清 寅さん夜明け前~」 小林信彦が出てた。
「五年目のひとり」 山田太一。
「宮崎のふたり」 宮崎発ドラマ。
「舞え! KAGURA姫」 広島発ドラマ。
「漱石悶々」 宮沢りえとトヨエツ。妄想シーンが悪くなかった。

この他に
「新世紀エヴァンゲリオン」

の再放送も欠かさず観ています。
めちゃめちゃ面白いです。


グランプリ
「ゆとりですがなにか」

敢闘賞
「夏目漱石の妻」

技能賞
「トットてれび」

という感じか。

他に「トラウマ賞」を創設するとしたら、「おこだわり」で漫画
家と女優がディープキスしてたカラオケボックスのシーンを
挙げたい。それでもモー娘。を最後まで歌う松岡茉優。
「狂気」を映像に写すことに成功した瞬間だった。

2017年1月2日月曜日

ベストテン <旧作>


そして旧作のベストテン。

1. ラストエンペラー  B.ベルトルッチ  1987年
2. 恋する惑星   ウォン・カーウァイ  1995年
3. カンバセーション…盗聴… F.F.コッポラ 1974年
4. ガンジー    R.アッテンボロー   1983年
5. ダイナマイトどんどん  岡本喜八  1978年
6. クヒオ大佐    吉田大八     2009年
7. 天国の日々   テレンス・マリック   1978年
8. ペーパー・ムーン P.ボクダノヴィッチ 1973年
9. ROLLING     冨永昌敬     2015年
10. インヒアレント・ヴァイス P.T.アンダーソン 2015年
次点. 花様年華    ウォン・カーウァイ   2001年


<講評>

対する旧作は、ほとんどが洋画。
ウォン・カーウァイが2本。はじめてタランティーノの映画を観た
ときのことを思い出すような、ポップな鮮烈さだった。
あとは、いわゆる"ビッグ・バジェット"の大作映画といっていい
『ラストエンペラー』と『ガンジー』が、長尺をものともしない質の
高さで、予想外の感銘を受けた。
名画座にはあまり行かなかったが、『ラストエンペラー』と『恋す
る惑星』を早稲田松竹、『ROLLING』を新・文芸坐、『インヒアレ
ント・ヴァイス』をキネカ大森で観た。それ以外は、BSプレミアム
で視聴した。

2017年1月1日日曜日

ベストテン <新作>


賀正。

本年もよろしくお願いいたします。

さっそくですが、昨年のベストテンです。
コメントは省略します。


1. リップヴァンウィンクルの花嫁 岩井俊二

2. 海よりもまだ深く 是枝裕和

3. 永い言い訳 西川美和

4. シン・ゴジラ 庵野秀明

5. 怒り 李相日

6. オーバー・フェンス 山下敦弘

7. ブリッジ・オブ・スパイ S.スピルバーグ

8. キャロル T.ヘインズ

9. FAKE 森達也

10. 日本で一番悪い奴ら 白石和彌

次点. アズミ・ハルコは行方不明 松井大悟


<講評>

これを選んでる時間が楽しいんです。

特筆すべきは去年に引き続き、というか、去年以上に邦画に
良作が多い年であったことだろう。上位6本の日本映画は、い
ずれも年が違えばきっと1位に選んでいたぐらいの質の高さと
内容の深さを持った素晴らしい映画だと思う。
『リップヴァンウィンクル』は、まあ好きなんだからしょうがない。
『海よりも〜』はけなすつもりで観に行って返り討ちに遭った。
そして西川美和は是枝さんの弟子なので、去年は師弟そろっ
て新作を発表し、いずれも甲乙つけがたい傑作だったことにな
る。すごいね。

惜しくももれた作品としては『ハドソン川の奇跡』『レヴェナント』
『ジムノペディに乱れる』がある。とても良い映画だったんだけど。

観に行けなかった映画も多数あるが、ここらあたりが私個人の限
界である。申し訳ない。

そんなこんなで、今年も良き映画に出会うべく、新宿渋谷を徘徊
する所存。よろしくお願いいたします。


-劇場で観た新作映画-
ブリッジ・オブ・スパイ、俳優 亀岡拓次、ヘイトフル・エイト、家族はつらいよ、キャロル、リップヴァンウィンクルの花嫁、ちはやふる -上の句-、オデッセイ、蜜のあわれ、アイアムアヒーロー、モヒカン故郷に帰る、レヴェナント:甦えりし者、ヴィクトリア、海よりもまだ深く、ディストラクション・ベイビーズ、ヒメアノ~ル、FAKE、クリーピー 偽りの隣人、日本で一番悪い奴ら、シン・ゴジラ、オーバー・フェンス、君の名は。、怒り、ザ・ビートルズ~EIGHT DAYS A WEEK ‐ The Touring Years、ハドソン川の奇跡、淵に立つ、何者、永い言い訳、ダゲレオタイプの女、kapiwとapappo ~アイヌの姉妹の物語~、この世界の片隅に、俺たち文化系プロレスDDT、アズミ・ハルコは行方不明、ジムノペディに乱れる、風に濡れた女、ミルピエ 〜パリ・オペラ座に挑んだ男〜(37本)