2016年11月3日木曜日

淵に立つ


☆☆☆★★         深田晃司       2016年

『ほとりの朔子』で感心してから、ずっと動向は気にしていた。
『さようなら』は結果的にはパスしてしまったが、また名画座で
観られるだろう。

ピアノを弾く少女のバックショットでの幕開けは、どうにも既視
感を誘う。『トウキョウソナタ』も『岸辺の旅』もそんな感じだった
ような…。ことほどさように、随所に"黒沢清感"がただよう。
浅野忠信が出ているからだけではない。カメラワークはそうで
もないが、ロケーションの選び方やキャラクターの造形なんか
に、それを感じる。ピアノの使い方にも。

刑務所帰りの、いつも真っ白なワイシャツを着て異様に姿勢
が良い浅野忠信が、文字通りの「異物」として家庭に入り込ん
でくる。紳士的だが不気味な男を、浅野が期待どおりの素晴
らしさで演じる。ほんと好きだわーこのひと。

ショッキングな内容でもあるので、安易におすすめはしない。
不穏、大好き!と叫んでいたきりちゃんは好きかもしれない。

                                                        10.24(月) シネパレス


0 件のコメント:

コメントを投稿