2016年11月20日日曜日

何者


☆☆☆★★      三浦大輔     2016年

就活がテーマというだけでゲンナリする。
企業説明会だエントリーシートだOB訪問だと、就活の世界を
巧く切り取ってみたところで、いまどきの若者たちの浅はかな
戦略とみみっちい争いしか映るまい。就活が彼らにとって切実
な問題であることは、かつて就活生のひとりとして胃の痛くな
るような日々を送った私にもじゅうぶん分かる。いわゆる「お祈
りメール」が積み重なることによる焦燥も、手に取るように分か
る。しかしもちろん、切実であることと、映画として観客を納得
させられるだけのものが描けるかは別問題である。
本作はある仕掛けを用意することで、就活という世界の「狭さ」
を脱しようと試みていて、その意気や良しだし、試みは成功し
ていると思う。ラスト30分まで退屈ぎみだったが、そこでギアが
入ってからはなかなか素晴らしい展開だった。

手持ちカメラを多用している。なぜこれ手持ち?と思うカットも
多かった。手持ちが好きじゃないもんで(酔うから)。多用する
と、やはり「ここぞ」というときの効果が薄れる。
有村架純がバックショットで訥々と岡田将生に反論するシーン
は良かった。しかしそれ以外はあまりに摑みどころのないキャ
ラクターだ。彼女こそ、いったい何者なのだろう。

画像は、ほろよいのCM。ではなくて、本編の1シーン。
学生のくせして良い部屋に住みすぎなんだよ!

                                                    11.5(土) 新宿ピカデリー


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