2016年6月13日月曜日

ディストラクション・ベイビーズ


☆☆☆★★      真利子哲也     2016年

描かれているのはほとんど"暴力"。
柳楽くんは、はじめは三津浜で、その後は大街道や銀天街
など、松山市の中心部で、とにかく喧嘩をふっかける。相手
がギターを背負ったバンドマンだろうといきがってる大学生
だろうと強面のヤクザだろうと、関係はない。一瞬も躊躇す
ることはない。ひたすら衝動にまかせてファイトを挑み、とき
に勝ち、ときに負けて気絶するまで殴られる。が、またムクリ
と起き上がって、次のファイトに挑むのである。怪物みたい
な奴を、柳楽くんが好演している。

想起するのは初期の北野武だろう。
ひさしぶりにここまで"乾いた"映画を観た。
くしくも「ニッポン戦後サブカルチャー史Ⅲ」で、北野武の
映画、特に『ソナチネ』を採りあげて宮沢章夫が、"何もし
ない身体"について熱っぽく語っていたが、まさにこのフィ
ルムにおける柳楽優弥の身体性は、『ソナチネ』における
北野武の挙動と相通じるものがある。

途中、菅田将暉という女しか殴れない大学生を相棒にして、
小松菜奈を誘拐して、車で連れ回す。行き着く先はもちろん
一種の破滅なのだが、『デス・プルーフ』的な爽快感もある
ラストである。

                                                    6.1(水) テアトル新宿


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