2016年5月4日水曜日

春の読書


今期の芥川賞受賞作を読みました。

「異類婚姻譚」
本谷有希子 著

御徒町凧の奥さんです…といっても夫のほうをご存じない
かもしれませんが。私がいちばんラジオを聴いていたころ、
森山直太朗の"OH! MY RADIO"によく出ていたかっくん…。
詩人です。最近あまり聞きませんが、ご活躍なのでしょうか。

まあそれは夫のことだから措くとして、本谷さんもついに芥
川賞。小説は初めて読んだのだけれど、読んでみるととて
もあっさりめで、ちょっと似てるかなと思い出したのは川上
弘美の受賞作「蛇を踏む」であった。

これがもし「芍薬」とかの凡庸なタイトルだったなら、はたし
て芥川賞を獲れたかどうか、別にケチをつけようってわけ
じゃないが「タイトル勝ち」な気がしないでもない。


「死んでいない者」
滝口悠生 著

一方、こちらはこってりめ。
通夜に集まったすごい人数の親族たちを、語り手を自在に
変えながら叙述していく変わった小説である。これがかなり
手練れで、新人ばなれしたうまさには舌を巻く。

選評でだれも触れていなかったが、これラテンアメリカ文学
(というかガルシア=マルケス)の影響ある、よね、きっと。

多くの親族たちの中で、印象に残るのは知花と美之の兄妹
である。最後、制服のまま知花が浅い川に横たわる、その
水の冷たさまでが感じられるようであった。

こっちの単独受賞でぜんぜんよかったんじゃないか。


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