2016年5月12日木曜日

蜜のあわれ


☆☆☆     石井岳龍    2016年

いまひとつ身が入らず。
どうしても鈴木清順の劣化バージョンに見えてしまう。
耽美的な世界というのは、映像化するのが難しいとは
思う。金魚が女の子になって老作家のもとに現れると
いう話なので、いたるところで水音の効果音(チャポン、
みたいな)が入れられている。ちょっとバカっぽくもある
のだが、悪くない試みだと思った。
本作をもし『私の男』の感じで熊切和嘉が撮ったらどう
なっただろうか。

二階堂プロは常に目を見開いて、奔放な金魚になりき
ろうとされていた。そして『この国の空』に続き、昭和初
期を意識したと思しきヘンな喋り方だった。しかしなが
ら二階堂プロ、肢体の美しさは当代一である。若さが
充溢して内側で暴れているようである。

                                               4.25(月) 新宿バルト9


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