2016年1月1日金曜日

ベストテン <新作>


賀正。
本年もどうぞよろしくお願いします。

では、さっそく昨年のベストテンを。


1. 海街diary       是枝裕和
2位と迷ったが、やはりこの映画には惜しみない拍手を送りたい。
「映画は女優」の原点に戻れば、これほど映画的な映画もない。
4姉妹はもちろんだが、樹木希林や大竹しのぶの演技も深い印象
を残す。

2. バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡) A.G.イニャリトゥ
劇場の廊下を大股で歩くおっさん、それを正面からとらえな
がらドリーバックするカメラ、そして耳を聾する原始的なドラ
ムビートが印象的だった。まさに「体験型」の映画。

3. さよなら歌舞伎町     廣木隆一
釧路で観たならまた別の感想を持ったかもしれない。でもいま
私は新宿の近くに住んでおり、休日に街に出るとしたらまずは
新宿である。ここに挙げた11本もすべて新宿で観た。そういう
私・映画・新宿の「距離感」のようなものもひっくるめて、この映
画が好きなのである。

4. 劇場版 BiSキャノンボール2014  カンパニー松尾
ほんとに考えようによってはおぞましい映画のような気もする。
「ここまでしていいのか?」とふと思ったりもするけど、つまるとこ
ろ、おもしろかった。それに尽きる。やっぱり百戦錬磨のAV監
督が集まってるだけのことはあるよ。

5. 岸辺の旅      黒沢清
良い化学反応が起こっていたと思う。ロードムービーと黒沢清
というのは、意外と相性が良いのかもしれない。

6. ロマンス          タナダユキ
大島優子がすばらしかった。それとまあ脚本が巧いよねー。

7. 花とアリス殺人事件   岩井俊二
僕(ら)の大好きな岩井俊二。新作がアニメと聞いた時は驚いた
けど、観てみると確かにこの形式がいちばん良いような気がする。
今年3月には黒木華主演の最新作が公開される。

8. アメリカン・スナイパー   C.イーストウッド
とことん幸福な『ジャージー・ボーイズ』の次にイーストウッド
が世に問うたのは、イラク戦争の英雄を描いた一筋縄ではいか
ないこの映画。エンドロールの無音が心に残る。

9. 私の少女       チョン・ジュリ
ペ・ドゥナの警官コスプレ目当てで観たところ、児童虐待と性的
マイノリティの深い深い闇に引きずり込まれることに。あまり評判
にはならなかったが、見ごたえある秀作。

10. きみはいい子     呉美保
あれ、そういえばこちらも児童虐待。
最近、高良くんの映画にハズレなしという状態である。良い役者。
池脇千鶴のママ友ぶりは秀逸だったが、元に戻れるのだろうか。

次点. 百円の恋     武正晴
安藤サクラの気合に圧倒されるための映画。


<講評>

今年はまずまず豊作だと愚考します。『幕が上がる』や『母と暮
せば』なんかも入れたかったのだが、入らなかった。
邦画が圧倒的に多いのが今年の特徴で、個人的には観たい
洋画があまりなかった。松江哲明はまったく逆のことを書いて
いたけど。
そして特筆すべきは、テアトル新宿で観た映画がなんと5本も
エントリー!(Bisキャノンボール、岸辺の旅、ロマンス、きみは
いい子、百円の恋) 気が合うわー。

今年は園子温イヤーでもあり、4本公開されて3本観たのだが
(「みんエス」は後回しにしてるうちに見逃した)、まさかのランク
インせず。『リアル鬼ごっこ』は良かったものの、あまりにも多く
の謎を放り出したままで、置いてきぼり感が、否めないよね(by
ベロニカ)。

106本でフィニッシュ。今年もがんばります。


― 観た新作映画 ―
百円の恋、さよなら歌舞伎町、劇場版 BiSキャノンボール2014、さらば 愛の言葉よ、リトル・フォレスト 冬・春、Mr.Children REFLECTION、味園ユニバース、花とアリス殺人事件、アメリカン・スナイパー、フォックスキャッチャー、幕が上がる、バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)、イミテーション・ゲーム、龍三と七人の子分たち、私の少女、セッション、駆込み女と駆出し男、新宿スワン、海街diary、あん、ラブ&ピース、バケモノの子、リアル鬼ごっこ、きみはいい子、ラブ&マーシー 終わらないメロディー、ソロモンの偽証 前篇・事件、ソロモンの偽証 後篇・裁判、この国の空、ロマンス、岸辺の旅、バクマン。、アクトレス ~女たちの舞台~、恋人たち、母と暮せば(35本)

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