2016年1月30日土曜日

ザ・ファイター


☆☆☆★★    デヴィッド・O・ラッセル    2011年

「ボクシング映画に秀作多し」の法則(知ってた?)に漏れず、
飽きさせない展開で多少強引でも最後まで牽引力を失わない
力作。ボクシングに家族のしがらみ(それもかなり強烈な)を絡
める手法は、確かなものである。まあ例によって「実話にもとづ
く」話で、いいかげん映画の3分の2が実話にもとづく話になっ
てんじゃないかという気がする昨今ですが、まあおもしろいもの
は許そう。確実に「役を生きている」クリスチャン・ベイルの演技
には脱帽。
エイミー・アダムスが可愛い。

                                                        1.17(日) BSプレミアム








<ツイート>
残り少ない歳月を愛おしむようにブラタモリを観る。
桑子ちゃん……。

2016年1月20日水曜日

ブリッジ・オブ・スパイ


☆☆☆★★★     スティーブン・スピルバーグ    2016年

スター・ウォーズはまだ観てないが、スピルバーグの新作と聞
けば観ずにはいられない。御大はこのところ、『戦火の馬』『リン
カーン』と傑作を連打しているので絶好調なのだろう。本作も
柄の大きい傑作だった。シナリオも演出も技術も、すべて次元
が高く、どこに文句を言っていいのかわからない。あえて言え
ばトム・ハンクスを見飽きた、ということぐらいか。でもいい仕事
するからね、トムは。
ソ連のスパイ「アベル」を演じたマーク・ライランスの演技に酔い
しれる。共産世界の闇に消えた「アベル」はどうなってしまった
のか。

スピルバーグは『怒りの葡萄』を映画化してる、と聞いたんだけ
どなぁ。これの次か?

予告篇で黒沢清の次回作『クリーピー』が流れた。タイトルが出
なかったのでつい観てしまったが、どうやら久しぶりに本格的な
ホラーのようだ。楽しみである。

                                                    1.11(月) 新宿ピカデリー


2016年1月18日月曜日

狩人の夜


☆☆☆★★      チャールズ・ロートン    1955年

隠れた名作としてたびたび名前を聞く映画で、ようやく観る
ことができた。俳優のチャールズ・ロートンが生涯で1作だけ
撮った監督作である。

幼い兄妹と悪い大人の対決の物語。
ロバート・ミッチャムの悪役がなかなか怖いが、それにしても
兄妹の母親が愚かすぎる。そしていざというときまったく役に
立たないボート小屋のおじさんに爆笑。

                                                       1.11(月) BSプレミアム


2016年1月16日土曜日

ダイナマイトどんどん


☆☆☆★★★       岡本喜八     1978年

北九州のヤクザの抗争を、野球大会で決着つけようという映画。
菅原文太がキレまくり、岡本喜八のノリノリの演出が冴えわたる。
キャッチャーミットを使った卑猥な表現には驚嘆。
応援のパンパンたちは盛り上がって脱ぎ始めるし、小料理屋の
女将で宮下順子は出ているし、ロマンポルノの雰囲気をあわせ
もつ、「仁義なき戦い」の野球版・2時間23分の大作である。
実に楽しい映画だった。

                                                         1.10(日) BSプレミアム


2016年1月12日火曜日

黒い十人の女


☆☆☆★        市川崑        1961年

2016年の「映画はじめ」。

船越英二演じる名うてのプレイボーイ(テレビ局勤務)が、
自分が愛してきた十人の女たち(本妻ふくむ)から殺害計
画を立てられるという、非常にめでたい映画で幕を開ける
ことができた。
船越の人生を舐めてる感じとか、ブラックな笑いはなかな
か冴えている。贅沢をいえば、もっと展開にドライブ感が
欲しいところ。

これ、船越英一郎主演で2時間ドラマでリメイクしてもいい
んじゃないか。本妻は深津絵里で、愛人は石田ゆり子か
ら大島優子まで取り揃えれば豪華になる。

                                                  1.5(火) BSプレミアム


2016年1月10日日曜日

テレビドラマ 2015年


ノルマが無いのであまり熱心に観てはいないが、
テレビドラマもいくつか観た。
ちゃんと最後まで観たものを挙げると…

「山田孝之の東京都北区赤羽」

松江哲明と山下敦弘が演出ということで、フツーの
ドラマになるはずがなく、超絶狂ったドラマだった。
フィクションとノンフィクションの境目とかいう言葉で
は生ぬるい。現実の裂け目を茫然と見ているような
気分になるドラマだった。

「おかしの家」

こちらも映画人たちによるテレビドラマ。
石井裕也が脚本・演出。オダギリジョー、尾野真千子、
勝地涼、八千草薫がしっかりと世界を作る。観ていて
こんなに安心なドラマはない。オダギリジョーってなん
であんな巧いの。

「花燃ゆ」

いちおう我慢して最後まで観ました。忍耐力が鍛えら
れました。

「64」

こういうヒリヒリしたドラマがウケないってどうよ。
私は毎週釘づけでしたけどね。素晴らしい出来でした。

「あまちゃん」(再放送)

再放送を、また全話2回づつ観てしまいました……。
暇な人間にしかできないことです。

単発ドラマでも

「東京ウエストサイド物語」「私の青おに」
「2030かなたの家族」「いとの森の家」

など観ましたが、特に収穫はなく。いや、唯一あるとしたら、
伊藤蘭ちゃんの娘の趣里が「東京ウエストサイド」に出てい
て、けっこう良かった。似てるんだ、お母さんに。
そんな感じで今年もなるべく観たいと思います。


<ツイート>

イエローモンキーが再結成かぁ。
近年バンドの再結成は増加傾向だけど、レベッカもプリプリ
もユニコーンも米米クラブも、みんな少し世代が上で、直撃
してたバンドではない(X JAPANには何の思い入れもない)。
私の青春と切っても切り離せないメモリアルなバンドの再結
成は初めてで、なんだかくすぐったいような不思議な気分だ。
まあそれだけ、こちとら確実に年をとってるという事なんだろ
う。だって川谷絵音なんて、3歳も下なんだってね!

2016年1月5日火曜日

ベストテン <旧作>


旧作のベストテン。
コメントは省略。それぞれの該当記事をお読みください。


1. 劇場版 テレクラキャノンボール2013 カンパニー松尾 2014年

2. フルメタル・ジャケット  S.キューブリック  1988年

3. マディソン郡の橋  C.イーストウッド  1995年

4. マイ・バック・ページ  山下敦弘   2011年

5. おとなのけんか   R.ポランスキー   2012年

6. 夜叉    降旗康男     1985年

7. トゥモロー・ワールド  A.キュアロン  2006年

8. トゥルー・ロマンス   T.スコット   1994年

9. ミリオンダラー・ベイビー  C.イーストウッド 2005年

10. 細雪    市川崑    1983年

次点. 恋恋風塵   候孝賢    1989年


<講評>

テレクラキャノンボールを1位にしてしまった……。
しかしひるがえって、みなさんが映画に求めるものとは何でしょう。
非日常のスペクタクル? ハラハラドキドキのサスペンス? 度肝
を抜かれる意外な展開? 現実社会を鋭く照射する批評性?
スカッと笑えるバカバカしさ? はたまたキレイなチャンネー?
実は、ここに挙げたすべてがテレクラキャノンボール2013にはあ
ります。ありまぁす(小保方さん風に)。成分としてはバカバカしさが
多量に含まれていますが、他のもあります。しかし万人にオススメ
は決してしません。自己責任で観てください。まあ、そういうことです。

おっと、ほとんどの字数をテレクラキャノンボールに費やすのはどう
かと思うので、他の作品にも触れます。
相変わらずBSプレミアムで観た作品が大半ですが、今年は早稲田
松竹で観たのが2本(トゥルー・ロマンス、恋恋風塵)、新文芸坐で観
たのが1本(フルメタル・ジャケット)。
この中で、誰が観ても楽しめると思うのは7位の『トゥモロー・ワール
ド』ですな。BSでやってたら観てみてください。おもしろいです。
いちばん自分以外の誰かの感想が聞きたいのは『恋恋風塵』かな。
なんだかとても良かった印象があるんだけど、その印象を全面的に
信用しかねる自分もいるという…。これも観る機会があったらぜひ、
捕まえて観てみてください。損はさせません。

2016年1月1日金曜日

ベストテン <新作>


賀正。
本年もどうぞよろしくお願いします。

では、さっそく昨年のベストテンを。


1. 海街diary       是枝裕和
2位と迷ったが、やはりこの映画には惜しみない拍手を送りたい。
「映画は女優」の原点に戻れば、これほど映画的な映画もない。
4姉妹はもちろんだが、樹木希林や大竹しのぶの演技も深い印象
を残す。

2. バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡) A.G.イニャリトゥ
劇場の廊下を大股で歩くおっさん、それを正面からとらえな
がらドリーバックするカメラ、そして耳を聾する原始的なドラ
ムビートが印象的だった。まさに「体験型」の映画。

3. さよなら歌舞伎町     廣木隆一
釧路で観たならまた別の感想を持ったかもしれない。でもいま
私は新宿の近くに住んでおり、休日に街に出るとしたらまずは
新宿である。ここに挙げた11本もすべて新宿で観た。そういう
私・映画・新宿の「距離感」のようなものもひっくるめて、この映
画が好きなのである。

4. 劇場版 BiSキャノンボール2014  カンパニー松尾
ほんとに考えようによってはおぞましい映画のような気もする。
「ここまでしていいのか?」とふと思ったりもするけど、つまるとこ
ろ、おもしろかった。それに尽きる。やっぱり百戦錬磨のAV監
督が集まってるだけのことはあるよ。

5. 岸辺の旅      黒沢清
良い化学反応が起こっていたと思う。ロードムービーと黒沢清
というのは、意外と相性が良いのかもしれない。

6. ロマンス          タナダユキ
大島優子がすばらしかった。それとまあ脚本が巧いよねー。

7. 花とアリス殺人事件   岩井俊二
僕(ら)の大好きな岩井俊二。新作がアニメと聞いた時は驚いた
けど、観てみると確かにこの形式がいちばん良いような気がする。
今年3月には黒木華主演の最新作が公開される。

8. アメリカン・スナイパー   C.イーストウッド
とことん幸福な『ジャージー・ボーイズ』の次にイーストウッド
が世に問うたのは、イラク戦争の英雄を描いた一筋縄ではいか
ないこの映画。エンドロールの無音が心に残る。

9. 私の少女       チョン・ジュリ
ペ・ドゥナの警官コスプレ目当てで観たところ、児童虐待と性的
マイノリティの深い深い闇に引きずり込まれることに。あまり評判
にはならなかったが、見ごたえある秀作。

10. きみはいい子     呉美保
あれ、そういえばこちらも児童虐待。
最近、高良くんの映画にハズレなしという状態である。良い役者。
池脇千鶴のママ友ぶりは秀逸だったが、元に戻れるのだろうか。

次点. 百円の恋     武正晴
安藤サクラの気合に圧倒されるための映画。


<講評>

今年はまずまず豊作だと愚考します。『幕が上がる』や『母と暮
せば』なんかも入れたかったのだが、入らなかった。
邦画が圧倒的に多いのが今年の特徴で、個人的には観たい
洋画があまりなかった。松江哲明はまったく逆のことを書いて
いたけど。
そして特筆すべきは、テアトル新宿で観た映画がなんと5本も
エントリー!(Bisキャノンボール、岸辺の旅、ロマンス、きみは
いい子、百円の恋) 気が合うわー。

今年は園子温イヤーでもあり、4本公開されて3本観たのだが
(「みんエス」は後回しにしてるうちに見逃した)、まさかのランク
インせず。『リアル鬼ごっこ』は良かったものの、あまりにも多く
の謎を放り出したままで、置いてきぼり感が、否めないよね(by
ベロニカ)。

106本でフィニッシュ。今年もがんばります。


― 観た新作映画 ―
百円の恋、さよなら歌舞伎町、劇場版 BiSキャノンボール2014、さらば 愛の言葉よ、リトル・フォレスト 冬・春、Mr.Children REFLECTION、味園ユニバース、花とアリス殺人事件、アメリカン・スナイパー、フォックスキャッチャー、幕が上がる、バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)、イミテーション・ゲーム、龍三と七人の子分たち、私の少女、セッション、駆込み女と駆出し男、新宿スワン、海街diary、あん、ラブ&ピース、バケモノの子、リアル鬼ごっこ、きみはいい子、ラブ&マーシー 終わらないメロディー、ソロモンの偽証 前篇・事件、ソロモンの偽証 後篇・裁判、この国の空、ロマンス、岸辺の旅、バクマン。、アクトレス ~女たちの舞台~、恋人たち、母と暮せば(35本)