2015年12月9日水曜日


☆☆☆★★        市川崑       1959年

実に奇怪で、悪意に満ちたホームドラマを堪能。
ストーリーは谷崎の原作にどこまで忠実なのか。たぶん、
だいぶ逸脱してるだろうと思うが。

中村鴈治郎と京マチ子は、小津の『浮草』(リメイク版)と
同じ組み合わせだ。そこに絡むは仲代達也と叶順子。
お手本のようなカット割り、ストップモーションの心にくい
使い方、たまに入って来る竹林とか塀とかの実景の不気
味さ、俳優たちの怪演、どれひとつとして目を離すことが
できず、思わず見入ってしまう。特筆すべきは叶順子だ
ろう。美人女優に、顔にコンプレックスのある不美人の役
をやらせる市川崑もすごいが、それに見事に応える女優
もすごい。

この時期の市川崑の文藝映画にハズレなしということら
しいが、それも頷ける。本作はちょっと増村保造に似たテ
イストを感じた。と、あんまり知らないのに言ってみる。

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