2015年9月21日月曜日

残暑の読書②


残暑もそれほど厳しくないですが。


『職業としての小説家』
村上春樹 著      スイッチ・パブリッシング

私も村上主義者のはしくれなので、正直いって一度ならず
読んだことのある話も多い。
普段の生活、長篇小説と短篇小説とエッセイの位置づけ、
執筆の方法、学校がおもしろくなかったこと、ジャズ喫茶を
やってた頃のこと、『風の歌を聴け』を最初ためしに英語で
書いてみたこと、奥さんに最初に読ませること、登場人物
に名前を付けるのが気恥ずかしかったこと、などなど…。
枚挙にいとまはない。

でも、初めて書いた(と思われる)ことも、同じぐらい多いな、
という印象。文学賞について思うこと、小説家の「寛容さ」に
ついて、また、10回ぐらい書き直すというのは聞いていたが、
各回でどういう風に書き直すのかは初めて明かしたのでは
ないか、あとは、キャラクター設定をするときの詳細や、子ど
もの頃や学校でのエピソードにも、初めて読むものが少なか
らずあった。そしてどれも興味深いものばかりであった。

もちろん村上春樹という小説家の成り立ちも興味深いのだ
が、やはり村上主義者のはしくれとしては(2回目)、「なぜ
村上春樹はこの本を書こうと思ったのか」という方にも関心
が向かってしまう。そしてそれは、66歳という年齢とも無関
係ではないだろう。











『紫式部の欲望』
酒井順子 著       集英社文庫

『源氏物語』を、作者である紫式部の「欲望」から読み解いて
いくという、なかなか意欲的なエッセイ。こういう本を手に取る
とこをみると、私はいまでも『源氏』を読みこなすことに一種の
憧れがあるんだなと思う。足を骨折して1ヶ月入院せざるをえ
なくなったら、また谷崎訳に挑戦してみたいものだ。でも、ほん
とにそうなったらそうなったで、他に読みたい本がいっぱいあ
る。『白鯨』も『魔の山』も読みたいし、『感情教育』も『荒涼館』
も、『明暗』も池澤夏樹訳の『古事記』も、『サハリン島』も…。
ということで、「1ヶ月入院したら何を読むか」というのは私の中
ではしばしば真剣にやる妄想なのだが、皆さんはそんなことな
いですか。ないですよね。










0 件のコメント:

コメントを投稿