2015年6月2日火曜日

セッション


☆☆☆★      デイミアン・チャゼル     2015年

なるほど。

既にこの映画は菊地成孔と町山智浩の論争を抜きにしては
語れなくなっている観があるので、映画の当否はもうそちら
にお任せしよう。ただし映画を観る前に読むのはお薦めしま
せん。私は菊地成孔は嫌いで町山智浩は好きだけど、この
論争に限っては、菊地成孔の言っていることにも首肯できる
ところはある。文章が読みにくいのは相変わらず。

私はどうだったかというと、たしかにこれは音楽映画という
よりも「週刊少年ジャンプ」的なデキの悪いスポ根マンガだ、
という指摘には一定の賛意を表したいと思う。ラストには間
違いなく興奮があるが、終わってみれば「はて。これでいい
んだっけ」という思いがぬぐえない。
まあしかし監督が描きたかったのはああいう世界なのだろう。
鬼教官の映画史に、新たな1ページを加えたのは確かである。

「ジャズという音楽があるのではない。「ジャズなひと」がいる
だけなのだ」というヨルタモリに登場する岩手のジャズ喫茶の
マスター・吉原さんの言葉がある。この映画の主人公は果た
して「ジャズなひと」と言えるだろうかと考えてしまう。

原題の"Whiplash"はもちろん劇中で演奏される曲名である
と同時に、「鞭の先端のしなる部分」という意味だそう。

                                          5.21(木) TOHOシネマズ新宿


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