2015年5月1日金曜日

イミテーション・ゲーム


☆☆☆★       モルテン・ティルドゥム      2015年

うん、おもしろかったよ。おもしろかったですけど、いまひとつ心に
響かなかったのはなぜなんだろうと考えるに、どうも「プロの仕事」
が目につきすぎて、素直に感心できなかったところはある。あくま
で個人的な感想だが。

つまり、ドイツ軍の"解読不可能な"最強の暗号機「エニグマ」と、英
国の天才数学者であり"コンピュータの祖"アラン・チューリング博士
との闘いという、まるで「ほこ×たて」のような興味深い事実(もちろん
超軍事機密)が近年明るみに出て、優秀なシナリオライターがその
興味深い事実を水準の高いシナリオにし、敏腕プロデューサーがし
かるべき資金を用意してしかるべきクラスの俳優を集めて演技をさ
せ、優秀な演出家がそれを演出する……。

意地悪な言い方をすれば、この映画に私はそういう「プロの技」しか
感じなかった。「細かいことより映画的な流れが優先」というのが見え
見えなのも鼻についた。「お客さんも、そっちの方がいいでしょ?」と
言われているようで、しゃらくせえ、とも思った。
よく使われる言葉から暗号を解いていくなんて初歩の初歩だろう。
それがきっかけで解読に至るなんておかしいし、そのヒントがもたら
されるキーラ・ナイトレイの友人の存在も、取ってつけたようだ。じゃ
あそこをリアルにやればもっと映画がおもしろくなるかといえば、そう
とも限らないのは分かっている。
そういう所をどう処理するか。観てないようで、意外と観客は観てる
んですよ。まあ、次回作に期待。

                                                              4.27(月) 新宿武蔵野館


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