2015年4月9日木曜日

アイズ ワイド シャット


☆☆☆★★      スタンリー・キューブリック     1999年

こういう話だったとはね。
公開時、わたしは13歳の映画好きでも何でもないただの少年だった
のだが、この映画が話題だったのは覚えている。ニコール・キッドマン
とトム・クルーズによる「濃厚な」ベッドシーンばかりがフォーカスされ
ており、というよりそれしかフォーカスされていなかったので、今日に
至るまでなんとなく、ほぼベッドシーンのみで160分の映画なのかと
思っていた。全然違うじゃねーか!(当たり前か)

夜を彷徨して次々とイベントに出会うトム・クルーズはどことなくRPG
のキャラクターのようでもあり、セックスが成就しそうでいつも未遂に
終わる「寸止め感」は徐々に、いずれ決定的な破滅が訪れるのでは
ないかという予感に変わってゆく。私は観ながら『ローズマリーの赤
ちゃん』を想起した。
しかしキューブリックが大真面目で撮ったからよかったようなもんで、
これたとえばクリストファー・ノーランが撮ったらどうよ。デヴィッド・フィ
ンチャーが撮ったらどうよ。ちょっと噴飯ものになる気がしませんか。

題名は、「眼をおおきく閉じて」ぐらいの意味なのか?
これが遺作となったキューブリック。奇しくも最後の映画の最後のセ
リフが"Fuck."になるとは、思わなかったろう。それはそれでカッコい
いけど。

                                                                    4.4(土) 新文芸坐


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