2015年1月8日木曜日

年末の読書


12月頃に読んでた本。

『身体を売ったらサヨウナラ 夜のオネエサンの愛と幸福論
鈴木涼美 著      幻冬舎

秋頃からずっとこの方が気になっている。
きっかけは、まあやはり週刊文春の記事ということになる。
ただどちらかというと、日経の記者が元AV女優だった! という
扇情的な内容よりも、彼女の経歴(慶応~東大院~日経新聞)
と、取材された彼女の受け答え、そして父親がフロイトやユング
の研究者の鈴木晶、という異彩を放ちまくってる感じに興味をそ
そられたわけである。以下記事から引用。

「入社してすぐに元カレが嫌がらせで親に私の(AVの)出演作を
添付したメールを送っちゃって……。父は『お前がそこまで狂った
女だとは思わなかった』とは言いましたが、『それで親の愛情が
変わることはない』と許してくれました」

この父親の理性的な対応、娘がAVに出ていたことを知った親の
対応として、これ以上のものを私は思い付けません。

とまあ、文春がきっかけで彼女を知り、当然ながら画像検索もひ
ととおり済ませ、修士論文に加筆して上梓し、あの小熊英二にも
称賛されたという『「AV女優」の社会学』(青土社)を購入し(未読)、
Twitterも読むようになり、その頃からちらほらインタビューやコラ
ムがネット上にアップされるようになってそれらを残らず読み(これ
がおもしろい)、そうこうしているうちに幻冬舎plus連載のコラムを
集めた本書がようやく刊行された。「発売を楽しみにして、買って、
すぐ読む」って、この感覚、なんだか久しぶりだな、とか思いなが
ら読んだのである。

前置きが大変長くなりましたが、おもしろかったです。










『ニッポンの音楽』
佐々木敦 著      講談社現代新書

『ニッポンの思想』の頃からアナウンスされていたことを考えると、
いったい何年待たせるんだよという感じで、まあ楽しみにしていた。

日本のポピュラー・ミュージックを概観するために佐々木敦が拠り
所としたのは、「リスナー型ミュージシャン」の系譜という意外なもの。
つまり、自らも熱狂的な音楽マニアであるミュージシャン達である。
とはいえミュージシャンはたいてい音楽マニアも兼ねている気もす
るが、聴いた音楽、それもおもに海外の音楽に触発され、それらを
能動的に取り込むことで、自らの創造する音楽を刻々と変容させて
きたミュージシャン、と言えるかもしれない。
だから、この本にシンガーソングライターはあまり登場しない。それ
よりは職人型、プロデューサー型のミュージシャンが多く登場する。
主要人物/バンドは、

はっぴいえんど~YMO~渋谷系~小室哲哉~中田ヤスタカ

時代順にこういうことになる。渋谷系までは、私が普段から愛聴して
いる音楽そのものである。なので佐々木敦に未知の音楽を教えて
もらえる感じではなく、私としては少し肩すかしではあった。

まあ結局、細野晴臣と坂本龍一はすげぇっていう話だと私には思え
たのだけど、違う?

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