2014年12月30日火曜日

バンクーバーの朝日


☆☆☆★★       石井裕也      2014年

石井裕也がはじめてビッグバジェットで挑んだ、カナダ
移民二世たちの野球チームを描いた大作映画。「家族」
に的を絞った映画が多かった石井監督が、差別や戦争と
いったものが複雑に絡んでくる「移民」をどう描くか、
いままでイメージになかった野球という「スポーツ」を
どう見せるのか、個人的には注目して観た。

あまり詳しい感想を書いている暇がないが、無難にまと
まってはいたが、光る部分もさほど見られなかったかな、
という感じ。

今年はこれで打ち止めだろう。104本で終了。

                                            12.30(火) 新宿ピカデリー


2014年12月28日日曜日

【LIVE!】 THE BACK HORN


マニアックヘブン vol.8

第1部 イキルサイノウ全曲

01. 惑星メランコリー
02. 光の結晶
03. 孤独な戦場
04. 幸福な亡骸
05. 花びら
06. プラトニックファズ
07. 生命線
08. 羽根~夜空を越えて~
09. 赤眼の路上
10. ジョーカー
11. 未来


第2部

12. 天気予報
13. 雨乞い ~ 怪しき雲行き
14. リムジンドライブ
15. 舞い上がれ
16. 時代(中島みゆき)
17. カラビンカ
18. さらば、あの日

                              12.25(木) 新木場Studio Coast

このイベント、バックホーンのファンにはいまさら説明不
要であるし、ファンでないひとはそもそも興味がないと思
うので特に説明はしないけど、つまり、マニアックヘブン
の9回目です。
今年は好きなアルバムに投票して、1位になったアルバ
ムを全曲やるという企画で、3rd Album「イキルサイノウ」
が1位になりました。いちファンとして、非常に納得の結果
です。
今年こそは「カオスダイバー」をやってくれないかと期待し
ましたが、今年も聴くことはできず。

ベストアクトは、客の盛り上がりも私自身の盛り上がりも
「怪しき雲行き」だけど、それだとおもしろくないので(なぜ
ならマニヘブに限らず何回もやっているので「マニアック
感」に欠ける)、ここは敢えて「孤独な戦場」にしよう。この
曲も2つぐらい前のツアーで聴いた気がするが、あらため
て秀逸な曲と演奏だった。最後のサビの後に「暗闇の中 
ドアを叩き続けろ」と繰り返すところなど、自然と握った拳
を突き上げたくなる。

2014年12月26日金曜日

ゴーン・ガール


☆☆☆★★     デヴィッド・フィンチャー    2014年

結婚5周年の記念日に妻が失踪するところから話は始まる。
旦那(ベン・アフレック)が帰って来ると妻の姿はなく、ガラスの
テーブルは粉々に割れ、家の中の数箇所に血痕があり、キッ
チンの床には大量の血液を雑に拭き取った跡が。しかもそれ
は妻の血液型と一致した……。
これはまだ序盤も序盤だが、いろんなことが後々「効いてくる」
構成になっているので、ネタバレしないようにするとほとんど何
も書けない。

まあとにかく狂ってるひとが大好きなフィンチャーさんだし、毎回
ファンからは「いやぁ旦那、今回も盛大に狂ってましたね」と褒め
られるんだろうけど、この映画でいちばん狂ってる「あの人」も、
歴代と比べてもかなり良い感じに狂ってます。ラスト30分までは
狂気控えめだったんで、なんだか旦那、今回はおとなしいでんな、
と思っていたんだけど、最後の30分にはゾッとした。あっぱれ。
フィンチャーさんの映画は後味が良いのがたぶんひとつも無いが、
観ている間はけっこう楽しい。

                                                        12.22(月) 新宿ピカデリー


2014年12月23日火曜日

鬼灯さん家のアネキ


☆☆★★         今泉力哉       2014年

同じ監督でなぜこうも違ってしまうのか。げに映画とは。

父の再婚相手の連れ子である「アネキ」が高校生の主人公
にエッチないたずらを仕掛けてくる、という微かな前情報だ
けを頼りに観た。実は原作のマンガも、今泉監督の名前も
知らなかった。
「血の繋がらない色っぽいアネキ」というのは、最近でも「ご
めんね青春!」にて中村静香が完璧に具現化してくれたよ
うに、際限なく夢の広がるシチュエーションであり、要は男子
の憧れなのである。これをうまいこと「くすぐる」ことができれ
ば、かなり面白い映画になる可能性もあったが、どうも歯車
が嚙みあっていたとは言い難い。すべてが生ぬるく、退屈き
わまる映画だった。

やはりそもそもがピンク映画向きなのかなー。でもピンク映画
にしてしまうと、とたんに上映館も、観る人間も、限定されてし
まうわけで。

                                                        12.21(日) キネカ大森


2014年12月22日月曜日

サッドティー


☆☆☆★       今泉力哉       2014年

2回目のキネカ大森。日曜なのに今回は席に余裕あり。
こないだがたまたま激混みだっただけか。

本当はこのあとのを本命視して来たのだが、こちらの
『サッドティー』のほうがはるかに良い出来であった。

映像の専門学校に通う、もしくは卒業したばかりの若者
たちの人間模様というか、まあ要は「好きかも」だの「付
き合う」だの「別れる」だのの、どうってことない話を120
分。でもこれが意外に観れてしまう。

このスカスカ感はなかなかのもんで、良くいえば「間を恐
れない」というのか、普通は怖くてできないぐらい、登場
人物たちは言い淀み、逡巡し、沈黙する。この監督の演
出力、なかなかのものと見込んだのだが……。

                                                  12.21(日) キネカ大森


2014年12月18日木曜日

天国の門


☆☆☆      マイケル・チミノ      1981年

『ディア・ハンター』で破格の成功を収めたマイケル・チミノが、
今度は1890年頃のワイオミングを舞台に東欧系移民の苦難
と被虐を壮大なスケールと壮大な尺で描いた超大作である。
その尺3時間40分。いくらなんでも長過ぎる!

映像は文句なく美しいが、説明セリフを排除しているおかげで、
「誰が」「どういう思惑を持って」「何のために」「何を」言ってる
のかが全然分からなかったんだけど、当方の理解力不足のせ
いなのか。そして、移民たちの放つ銃弾は、なぜあんなに当ら
ないのか…。銃の性能でしょうか。

記念すべき100本目! 今年も無事ノルマ達成。やったね。

                                                        12.13(土) BSプレミアム


2014年12月16日火曜日

ショーシャンクの空に


☆☆☆★★       フランク・ダラボン     1995年

実は初めて観たのだが、なるほどよくできてる。
一瞬も「ゆるみ」がなく、無駄なシーンがない。観終われば、ずっし
りとした感触が心に残る。お手本のような映画だな、というのが最
初の感想。
スティーヴン・キングの短編「刑務所のリタ・ヘイワース」は昔読ん
だことがあるので、最後のリタ・ヘイワースにまつわる部分と、頭部
に刺激を受けると人間は反射的にものすごい力で歯を嚙みしめる、
という件だけはよく覚えていた。

男しか出て来ない映画では『アラビアのロレンス』の次に面白い。
その2本しか知らないけど。

99本目。あと1本!

                                                            12.8(月) BSプレミアム


2014年12月14日日曜日

超能力研究部の3人


☆☆☆★★        山下敦弘       2014年

『もらとりあむタマ子』で前田敦子を主演に、のちに「甲府映画の
傑作」と語り継がれることになる(たぶん)映画を見事に撮った山
下監督の最新作は、乃木坂46の秋元真夏、生田絵梨花、橋本
奈々未を主演に、アイドル映画の撮影現場を舞台としたフェイク・
ドキュメンタリーであった。
つまり、3人が主演の「超能力研究部の3人」という、高校の部活
を舞台にした映画を撮影するメイキングと、映画の本編と思われ
る映像が複雑に入り混じる構成でありながら、実はそのメイキング
もしっかり演出が入ったフェイクであるという、非常に凝った内容
なのである。ただ、演出は入っているものの、全部セリフが決まっ
てるわけではおそらくなく、インタビュー部分とかリアクションとか、
演技指導に涙する場面とか、多分に「本当」と「演出」とが不可分
に境界を接しており、そのバランスの取り方は実に巧い。手練れ、
というやつで、もうアイドル映画は全部山下監督でいいんじゃない
かと思ってしまう。山下監督がやれば『ホットロード』はどうなった
だろう、『ソラニン』はどうなっただろう、考えても仕方のないことだ
が、夢想は広がっていくのだった。

                                                             12.7(日) シネマート新宿


2014年12月11日木曜日

エターナル・サンシャイン


☆☆☆★★     ミシェル・ゴンドリー     2005年

現代美術館に「ミシェル・ゴンドリー展」を観に行くことになり、
当日の朝に予習として鑑賞。我が国が誇る内田けんじをSF
寄りにしたような、なかなか凝ったラブストーリーで、辻褄合
わせも含めて楽しめた。

映画の時代設定はよくわからないが、まず前提として、特定
の人物の記憶を消す技術が開発された世界である。手術で
自分が記憶から消したい人物に関する記憶を根こそぎ除去
できる。すると、手ひどい別れ方をした恋人たちが手術を受
けに来るわけで。まあ、そういう話。

ミシェル・ゴンドリーのMV(ミュージック・ビデオ)もYouTubeで
予習したが、ミシェル・ゴンドリー作であることを知らずに観て
いたものが多数あり、それも名作が多いのに単純に驚いた。
ケミカル・ブラザーズの電車の車窓のやつとか、路上でドラム
叩いてるやつとか、えぇこれもそうなの、という感じ。

                                                                   11.28(金) DVD


2014年12月8日月曜日

【LIVE!】 椎名林檎


林檎博'14 -年女の逆襲-

01.
02. 葬列
03. 赤道を越えたら
04. 都合のいい身体
05. やっつけ仕事
06. 走れゎナンバー
07. 渦中の男
08. 遭難
09. JL005便で
10. 私の愛する人
11. 禁じられた遊び
12. 暗夜の心中立て
13. Between today and tomorrow
14. 決定的三分間
15. 能動的三分間
16. ちちんぷいぷい
17. 密偵物語
18. 殺し屋危機一髪
19. 望遠鏡の外の景色
20. 最果てが見たい
21. NIPPON
22. 自由へ道連れ
23. 流行
24. 主演の女
25. 静かなる逆襲
26. マヤカシ優男
27. ありきたりな女

                             11.29(土) さいたまスーパーアリーナ

念願であった林檎さまのライブ。初ライブである。
2時間弱で、ご覧の27曲を一気呵成に畳みかける圧巻の
パフォーマンスだった。ただ、曲数的には充分だけど、終演
後に時計を見て2時間経っていないと、なんとなく「物足りな
い…」のが人情というもので。じゃあ無駄なラーメン屋のMC
とかで水増し(別にバックホーンの悪口ではない)すればい
いのかというと、そういうもんでもなく、なかなか難しいところ
である。なむなむ。

今回は大編成のストリングス&ブラス隊がバックを固めてい
て、ほとんどの曲で豪勢なアレンジがなされていた。の、だが。
こっそり言うと、ストリングス&ブラス隊が入る曲よりも、シンプ
ルなバンドサウンドの曲のほうがグッときたのは間違いない。
曲でいえば「やっつけ仕事」「能動的三分間」「ありきたりな女」。
「やっつけ仕事」なんて特に、懐かしさが込み上げてきて高校
時代をちょっと思い出したり。良かったなー。
ベストアクトは「能動的三分間」で! So coolであった。

2014年12月2日火曜日

【LIVE!】 スガシカオ


NEXT ROUND TOUR 2014

01. バクダンジュース
02. Re:you
03. 19才
04. ストーリー
05. バナナの国の黄色い戦争
06. Hop Step Dive

07. ぬれた靴
08. グッド・バイ
09. LIFE
10. アストライド

11. アイタイ
12. AFFAIR
13. Progress

14. カラッポ
15. モノラルセカイ
16. 奇跡
17. したくてたまらない
18. 91時91分
19. Thank you
20. 午後のパレード

Encore-1
01. アシンメトリー
02. イジメテミタイ
03. コノユビトマレ

Encore-2
01. 情熱と人生の間
02. 俺たちファンクファイヤー

                       11.22(土) TOKYO DOME CITY HALL

ツアー最終日だったので、ダブルアンコール含めて計25曲
の大盤振る舞い。
これまでシカオちゃんのライブでは「PARADE」のツアーを
神奈川県民ホールで観たのがベストだが、それに迫る勢い
の楽しいライブだった。

RISING SUNではちょいちょい観ていたけど、単独ライブに
行くのは何年振りだろう。断わっておくが、決して好きじゃな
くなったわけではない。アルバムは聴いていた。配信限定
のシングルだって買った。「アイタイ」に至っては配信で買っ
て、シングル盤も買った。
しかしながら、恐縮ながら、「わざわざ札幌まで観に行きたい
アーティストリスト」には入っていなかった。シカオちゃん、実
にすまん。というか、山下達郎とTHE BACK HORNしか、その
リストには載っていなかったんだよ。ほんとだよ。

しかしあいかわらず「奇跡」がキラーチューンだと思ってるの
はいただけないな。あれはキラーチューンではないよ!
シカオちゃんのキラーチューンは「ストーリー」であり「黄金の
月」であり、「クライマックス」だ。

ベストアクトは「カラッポ」。この曲が好きすぎる…。
弾き語りから始まってだんだんバンドが加わっていくアレンジ
の「Progress」も相当よかった。