2014年7月31日木曜日

芥川賞、久しぶりに③


「道化師の蝶」
円城塔 著

これもなんだかなぁ。よくわからんわ。
ほんとに理系の人間が読んでおもしろいんだろうか。
私はいちおう理系のはしくれだが、感心しなかったな。


『夏の流れ』
丸山健二 著      講談社文芸文庫

いつか再読したいと思っていた。
森達也の死刑の本を読んだのもあるが、昔読んだこの小説
に描かれた、表面上は静かだが不吉さに満ちた夏の風景が
ずっと心に残っていたからである。
久しぶりに読み、二十代の丸山健二のまったく二十代らし
からぬ落ち着いた筆致に驚嘆する。綿矢りさに破られるま
では芥川賞の最年少受賞記録だったわけだが、「若書き」
など微塵も感じさせない。特に会話が良い。

表題作のほか、「その日は船で」以降3年ぐらいの間に発表
された短篇が発表順に収められている。おかしなもので、
段々つまらなくなっていくのはどうしてだろう。「その日は
船で」まではなんとか読めるものの、あれだけ会話が巧かっ
たのに、どんどん会話が削られていき、どんどん歪に、そし
ておもしろくなくなっていく。不思議だ。



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