2014年4月25日金曜日

女のいない男たち


村上春樹 著    文藝春秋

あの連載が単行本になったよ。むろん購入し、いそいそと未読
の2篇を読む。

「文藝春秋」連載の4篇を読んだ時点で、村上春樹の「新機軸」
として、私は事態をおおむね歓迎する考えを示した(政治家か)。
特に「ドライブ・マイ・カー」と「木野」はこれなかなかにエッジの
効いた良い出来で、とても気に入ったし、「イエスタデイ」にしても、
この短篇はなぜか私に「象の消滅」を思い出させるのだが(共通
点はあまり無い。立食パーティーで女の子と良い雰囲気になる
のに寝ないからか?)、決して悪くはない。「独立器官」は、まあ、
どうなんだこれという感じだけど。

残るは柴田元幸の「MONKEY」に掲載した「シェエラザード」。
これはなかなかに「過激な」お話で、気持ちは分からなくはない
けど、ちょっと笑ってしまった。新機軸といえばいえるのか。でも
長篇だとこういう女の子の「妄執」めいた描写って、青豆さんの
あたりから既に始まってはいたような。

そして書き下ろしの「女のいない男たち」。
こういう抽象的な短篇、昔は春樹よく書いてましたよね。
そういう意味で少し懐かしい気もしたが、話としては全体が見え
なくて、なんとももどかしい感じ。

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