2013年12月31日火曜日

もらとりあむタマ子


☆☆☆★★       山下敦弘      2013年


帰省してとりあえず何か一本、と思ってこれに。
甲府の実家でぐうたらしている女の子の役を前田敦子。
出づっぱりの主演だが、とても良い。写真屋の息子と
ともに、かなり笑わせてもらった。周りも笑ってた。
年の最後に良い映画を観たぜ。


そんな年の瀬に飛び込んできた大瀧詠一の訃報…。
信じられない。ほんとに信じられない。
秋にはまだFMで「アメリカン・ポップス伝 PART.Ⅲ」を
やっていたのに。私は大瀧さんのラジオでの喋りが好き
だった。洒脱で、都会的で、恐るべき博識なのだが、決し
て押し付けがましくならない。あれがもう聞けないと思うと
寂しいぜ。
真にポップス界の巨星と言えるひとだった。
「A LONG VACATION」や「EACH TIME」ももちろん
素晴らしいが、アイドルを中心に色んなひとに提供した曲
もまた素晴らしく、「作曲:大瀧詠一」のクレジットがある曲
を探してずいぶん聴いた。
松田聖子のアルバム「風立ちぬ」のA面5曲をプロデュー
スしていて、これを聴くだけでも大瀧詠一のメロディの独特
さ、ナイアガラ・サウンドの魅力が分かるというものだ。

そんな2013年。今年観た映画は104本。

                                            12.29(日) 渋谷シネパレス


風の谷のナウシカ


☆☆☆☆        宮崎駿      1984年

去年もクリスマスイブは休みで家に居て、「北の国から
 '98 時代」を見て終わった覚えがあるが、今年も休み
とはな。ナウシカとNHKスペシャルをいくつか観ていたら
もう深夜だった。

小さい王蟲を囮にしてるペジテの奴らの若い方が、捨て
身で飛び込んでくるナウシカを見て「ラステル様!」って
言ってるんだね。初めて気づいた。

特典の、鈴木敏夫と庵野秀明の対談がおもしろかった。

                                             12.24(火) Blu-ray Disc


2013年12月23日月曜日

年末の読書②

『死刑』
森達也 著     角川文庫

著者いわく「死刑をめぐるロードムービー」。
著者自身である「僕」は考え、悩み、ひとの意見を求め、現場
に足を運び、死刑囚に会い、そしてまた考える。少しずつ着実
に、思考のレベルを上げていくのだ。しかし、死刑をめぐる道
ゆきに終りは無い。

読み終わってむしょうに『夏の流れ』が読みたくなって、近くの
本屋で探すも、まあ、有るはずもなく。ちーん。だいたい講談社
文芸文庫のコーナー自体がほんとにちょこんと、40cm幅ぐら
いしか無いんだもん。そりゃ有るはずねぇわ。今度札幌行った
ときに買おう。

丸山健二の芥川賞受賞作『夏の流れ』は、高校の時に現代文
の授業で読み、感想を書かされて以来いちども読み返していな
いが、印象は強烈である。私は当時、ニュースステーションで
見た本村洋のたたずまい(と鋭い舌峰)に衝撃に近いものを受
けていたので、そのことを書いたと記憶している。
本書には本村洋とのメールのやりとりも引用されている。









『阿寒に果つ』
渡辺淳一 著     扶桑社文庫

あの渡辺淳一の本を読む日が来るとは思わなかったが、この
小説だけは、釧路や阿寒が登場することと、夭逝の(自死した
人間にもこの表現を使っていいのかどうかは分らないが)少女
画家がモデルということで、以前から気になっていた。買って
3年ほど本棚で熟成させたわけだが、このたびふと手に取って
読んでみると、これがなかなかおもしろい。文章はまったく巧い
とは思わないが、やはり題材が鮮やかだし、いちいち細部がよ
く描けている。まあ実際にあったことがほとんどだからもしれな
いが。
加清純子(というのがモデルになった少女画家の名だが)という
ひとは興味深いね。他にも本があるようなので、読んでみようと
思う。画集も見たい。


2013年12月22日日曜日

LOVE LETTER


☆☆☆★★★       岩井俊二      1995年

う~む。観終わって俺は唸ったね。
これが長篇映画デビューとは恐れ入る、というぐらい巧い。

大学院のとき、研究室を抜け出して名画座で観て以来、
久しぶりに観たけど(通算すると4度目ぐらい)、今回がい
ちばんおもしろかった。
冒頭の雪上に寝ている中山美穂の横顔から、起き上がった
彼女をとらえながらのズームバックでそのまま小樽の街が見
えるところまで長回しなんていうのはもう、「摑み」として非常
にオシャレなんじゃないでしょうか。随所にキラリと光る工夫
が凝らされていて、恋愛映画はたいていかったるいと思って
いる筆者だが、まったく長さを感じない。

                                                     12.10(火) BSプレミアム


2013年12月18日水曜日

年末の読書

『新樹の言葉』
太宰治 著      新潮文庫

「葉桜と魔笛」という短篇、タイトルだけは前から知っていて、
そのどことなく甘美な響きからどんな短篇なんだろうとあれ
これ想像してはいたのだが、良い短篇ですねぇ。巷にあふれ
ている難病ものの映画なんかよりずっと切なく胸が締めつけ
られるようである。

他にも「花燭」「新樹の言葉」「愛と美について」「誰も知らぬ」
など。「愛と美について」なんて、どんだけ巧いんだあんた!
と詰め寄りたいぐらい巧い。そして「春の盗賊」には爆笑。
泥棒相手に説教する話なのだが、最高。









「イエスタデイ」
村上春樹 著     文藝春秋新年号

「女のいない男たち2」というサブタイトルは、これが連作短篇
であることを意味していよう。ヘミングウェイに同じタイトルの
短篇集があるのですね。知らなかった。

今回は、「イエスタデイ」に関西弁の歌詞をあてて風呂場で歌
う男の話である。やはり三人称でリアリズム。2作目も良い感
じ。この路線、けっこう好きかも。

また立ち読みで済ませてしまった。
実は週刊文春、ちかごろの中国・韓国への攻撃的・挑発的な
記事に嫌気がさして買っていない。低級な雑誌に成り下がった
感が否めないので、しばらく買い控えることにする。しかしたく
さん読んでいるコラムがあるので、仕方がないからぜんぶ立ち
読みしている。すごく時間がかかる。でも買うのは癪だからしょう
がない。

2013年12月15日日曜日

【LIVE!】 山下達郎

  PERFORMANCE 2013

01. 新・東京ラプソディー
02. SPARKLE
03. LOVE SPACE

04. ずっと一緒さ
05. あしおと
06. ひととき
07. スプリンクラー
08. PAPER DOLL
09. FUTARI

10. God Only Knows (The Beach Boys Cover)
11. Groovin' (The Young Rascals Cover)
12. 光と君へのレクイエム
13. My Gift To You (Alexander O'Neal Cover)

(アカペラコーナー)
14.Berra Notte
15.Have Yourself A Merry Little Chiristmas (Judy Garland Cover)

16. DANCER
17. 希望という名の光(+今日をこえて)
18. メリーゴーラウンド
19. LET'S DANCE BABY~硝子の少年~アイ・ガット・ア・ウーマン
20. アトムの子 (+アンパンマンのマーチ)
21. LOVELAND ISLAND

-Encore-
01. クリスマス・イブ
02. RIDE ON TIME
03. 愛を描いて -LET'S KISS THE SUN-
04. YOUR EYES

                                                    11.30(土) ニトリ文化ホール


あちらがタヌキ親父なら、こちらは「早口おやじ」か。
3時間半のライブ、堪能いたしました。素晴らしすぎます。

一昨年、ライジングサンで初めてライブを観ていたく感銘を受
け、いや、とまれ、これは"夏フェスで達郎"という特殊な環境
に依存するものかもしれんと、去年、確認のために帯広で単
独ライブを観て、あらためて圧倒され魅了され、これなら札幌
まで観に行ってもいい、という確信を深めたので、この度ほん
とに観に来た、というわけである。

この間、アカペラアルバム以外ほとんどのアルバムをそろえ、
勉強を重ねた結果、カバー曲以外はすべて知っていたという
のは良かったことよ。

とにかく最初の3曲がカッコよすぎて、永遠に聴いていたかった。
と言いつつ、ベストアクトは
「スプリンクラー」
「PAPER DOLL」
で迷う。PAPER DOLLの達郎のさりげないカッティングからの
始まりには鳥肌が立ったが、それ以上にスプリンクラーの歌唱
は素晴らしかった。
ということで、「スプリンクラー」に決定!

2013年12月13日金曜日

夢と狂気の王国


☆☆☆★         砂田麻美        2013年


『エンディングノート』の砂田麻美が、『風立ちぬ』と『かぐや姫の
物語』を製作中のスタジオジブリに潜入する。そんなおいしい状
況なら、そのへんのものをテキトーに撮っても面白いものに成り
そうだね、なんて言っちゃいけない。

ジブリといえば私はかねがね、あのいかにも扱いにくそうな監督
(それも二人も、だ!)を、ほいほいと転がして映画を作らせている
プロデューサー・鈴木敏夫という人間が、どう見てもいちばん「悪い
奴」だと思っていたので、もしあいつの内面に迫っていたら、これは
相当に見応えがあるかもしれない、と思っていた。

結果的には、鈴木敏夫のタヌキ親父っぷりよりも、とりあえず事務
スタッフの三吉さんの可愛さから目が離せなかったわけで、ワンカッ
トでも多く三吉さんが登場するように願ったほどである。『かぐや姫』
の完成がまったく見えて来ない焦りの中で、移動中の車内、鈴木敏
夫が「高畑さんは映画を完成させたくないんだよね。宮さんは少なく
とも完成させたがるからずっとラクだ」みたいなことを言っていたの
が印象的だった。

カメラの前で饒舌をふるう宮崎駿のサービス精神にも感心するが、
そのへんはNHKの番組でも見ているので、さほど驚きはない。しか
しよくあんな環境で仕事ができるよね。カメラに見詰められながら
仕事をするというのは、どういう心境なのか考えてしまう。

「ジブリにしのびこんだマミちゃんの冒険」

この宣伝文句も鈴木敏夫が考えたっていうじゃないですか。
みんな転がされてるんだ、タヌキ親父に。

                                                         12.1(日) シネマフロンティア


2013年12月4日水曜日

死刑弁護人


☆☆☆★★       齊藤潤一     2012年

世に弁護士は何万人と存在しているというのに、なぜ死刑
が絡むような、世間の耳目を引く事件の弁護はいつも安田
好弘なんだろう。と、ちょっとでも不思議に思ったことのある
ひとは、観るといいかもしれない。なるほど、と思うかもしれ
ないし、思わないかもしれない。
私にはけっこう興味が尽きないドキュメンタリーであった。
私はお人好しが主人公の映画だと点が甘くなるのかもしれ
ないな。

とりあえずこれで、100本目! ありがとうありがとう。

まだひと月以上を残しての、いうなれば"余裕の"達成であ
る。これもひとえに、わたくしも社会人4年目となり、ますます
「時間の使い方がうまくなった」ことの証左にほかならず、決
して今年が「暇な一年だった」ということを示すものではない
事は、あえて強調するまでもないだろう。ないよね!

                                                    11.25(月) BSプレミアム


2013年12月2日月曜日

キャリー


☆☆★★★      キンバリー・ピアース     2013年

普通をちょっと下回るぐらいの出来かな。
一応ホラー映画、なのか。まったく怖くないが。

今回クロエちゃんは徹底的にいじめられる役だが、やはりという
べきか、『キック・アス』のヒットガールのイメージが強烈なので、
キネ旬にも誰かが書いていたが、
「本気で戦ったらお前がいちばん強いだろ!」
というツッコミが常に頭を去らない。これはけっこう気が散ります。

最近新作映画にハズレが多い。
そんなこんなで、99本目。

                                                   11.24(日) イオンシネマ釧路