2013年8月7日水曜日

風立ちぬ


☆☆☆★★★      宮崎駿       2013年

はやる気持ちを抑えきれず、初日に鑑賞。

素晴らしい作品だったし、まさに庵野秀明も言っていたように72歳
でこんな作品を作れるというのは「驚異」という言葉でも生ぬるい。
突風に飛ばされる帽子、紙飛行機、パラソルなど、とにかく"風"を
これでもかというぐらい自在に操る宮崎駿の徹底ぶりにはひれ伏
すしかない。もう誰も追いつけない領域にいっちゃってる感じ。
これを観るとやっぱり、飛ばされた帽子を返しに来てくれた可愛い
女の子が、突然ヴァレリーの詩をフランス語でささやいて来てもちゃ
んと続きを口ずさめるようにしとかなきゃ、と思いますもんね(思わ
ないか)。

ただ、手離しで「最高!」とは言い切れない部分もある。ドラマが中
盤あたりで停滞するように感じたのがまずひとつ。二郎がヨーロッパ
に視察に行ったあたり、正直いって退屈していた。
それともうひとつ、有権者の皆さまに訴えたいのは、4分間の特別予
告編で「おいしいシーン」を使い過ぎであるということ。私はけっこう
映画館に行くので、あの予告編を4回ほど観た。観て、そのたびに
あまりの素晴らしさに震えていた。「ひこうき雲」に乗せて本編のおい
しいとこどりをしまくったあの予告編がもし独立した作品であったなら、
評価は☆☆☆☆以上である。予告編から本編をあれこれ想像してい
るときの方が、本編を観ているときより幸せなのはちょっと問題だと
思うのですが、いかがでしょう。

とまあ、ケチはつけましたが、なんたって「宮崎駿の新作」ですから。
日本にこの天才がいることの幸福をかみしめた一日でありました。
もう1回観に行こう。

                               7.20(土) イオンシネマ釧路(旧ワーナーマイカル)


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