2012年3月24日土曜日

最近かたづいた本⑧


『お言葉ですが… 別巻4
高島俊男 著    連合出版

今のところ本書が高島さんの最新刊。
あいかわらずの健筆で、おおかたはおもしろいが、なんだか資料を
紹介しているだけのような味気ない文章もちらほらある。漢字の読
み方、呉音と唐音の違いは、これまでもたびたび高島さんの文章に
出て来たが、本書の説明がいままででいちばん詳しくて分かり易い。


『黒澤明という時代』
小林信彦 著    文春文庫

「映画は封切のときに観ないとダメなんだ」という著者の言葉が作中
にあるが、もちろん一面の真実ではあるのだろうけど、"それをいっ
ちゃあ、おしめぇよ"という気もするのである。

小林さんは本書で、製作年の順に、黒澤明の監督作をリアルタイム
でどういうふうに観てきたか、そしてDVDで全作品を観返して、いま
どう思うかをつづっている。白眉はやはり最初の章「『姿三四郎』で
戦時下に登場」だろう。黒澤明のデビューがいかに鮮烈で、破格の
"新人"だったか、戦時下の日本人がいかにこの映画に熱狂したか
が、当時10歳の小林「少年」の目を通して描かれる。この章を読む
と「なるほど、こりゃ封切で観ないとダメかもな」と思ってしまうのだ
が…。だっていま「姿三四郎」を観ても、わりと普通の柔道映画です
もんね。フィルム切られてて完全じゃないし。




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