2012年3月5日月曜日

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド


村上春樹 著  新潮文庫

高校のとき読んで以来、一度も読み返していなかった。
村上春樹の小説でなぜか唯一これだけ。読み返そうと試みるも、
最初のエレベーターとピンクのスーツの太った娘の描写で挫折し
ていたのである。あそこがけっこうダルいんだよね。

一人称の違う主人公の章が交互に繰り返す、のちの『海辺のカ
フカ』や『1Q84』でも採用される形式(厳密にいえば『1Q84』は一
人称ではないけども)を最初にやり始めたのが本作だが、その2
作と違うのは明らかに片方の章「ハードボイルド・ワンダーランド」
の方がおもしろいということですね。特に会話の冴えにはあらため
て驚いた。得意の比喩も惜しげなく披露されているが、次が『ノル
ウェイの森』、その次が『ダンス・ダンス・ダンス』であることを考え
ると、まだ途上の観あり、といったところ。

しかし人気ランキングでしばしば1位になるのは、正直よくわからな
いなー。私は『ノルウェイの森』と『ダンス・ダンス・ダンス』、もう1作
といわれれば『ねじまき鳥クロニクル』を最も好む者である。まあ
結局は、緑、ユキ、笠原メイと、主人公との会話が好きなんだね。


0 件のコメント:

コメントを投稿