2012年12月31日月曜日

ルビー・スパークス


☆☆☆  ジョナサン・デイトン ヴァレリー・ファリス   2012年

今年はこれで映画納めだ!
100本目! イマイチだった!

                                                          12.31(月) シネクイント


狐の呉れた赤ん坊


☆☆☆        丸根賛太郎       1945年

当時の大スター・阪東妻三郎がひろった子どもを演じるのは
当時7歳の津川雅彦。さすがに面影は無い。

あと1本!

                                                     12.30(日) BSプレミアム


有りがたうさん


☆☆☆★★          清水宏           1936年

上原謙。
こういう映画大好きだぜ。
山本晋也の解説がまた良い。

                                              12.30(日) BSプレミアム


2012年12月30日日曜日

東京五人男


☆☆☆        斎藤寅次郎       1945年

敗戦から3ヶ月の昭和20年11月にクランクインとのこと。
焼け野原の東京が圧倒的なリアリティをもって迫る。

五人男とは、古川緑波、横山エンタツ、花菱アチャコ、
石田一松、柳家権太楼。

風呂で古川ロッパが歌うシーンも楽しいが、「のんき節」も
良い。

あと3本。

                                                  12.29(土) BSプレミアム


いそしぎ


☆☆★★★       ヴィンセント・ミネリ      1965年

このへんの「文芸映画」的なやつは、いま観てもおもんないなー。
この映画も、教育だの自由だの、芸術だの愛だのやってるが、
結局はエリザベス・テイラーの豊満さだけしか頭に残らない。
※意見には個人差があります。

                                                         12.28(金) BSプレミアム


2012年12月29日土曜日

冬の読書②


『あの川のほとりで』
ジョン・アーヴィング 著    小竹由美子 訳     新潮社

長い小説を愛好する私としては、いつもお世話になっているミスタ・
アーヴィングの最新作。この作品の後、英語圏では"In One Person"
という作品が既に出版されたようだが、それは本邦未翻訳である由。

熊と間違えて父親の愛人をフライパンで撲り殺してしまった息子と、
当の父親が、タチの悪い保安官から北部アメリカ、そしてカナダと
逃げ続ける話を軸としながらも、当然そこに作家のイマジネーション
の尽きせぬ泉から溢れてきた、タフな木こり、料理、ベトナム戦争、
小説の書き方、ブッシュの政治、9.11などなど、様々な要素が思わ
ぬところから飛び出して来る。その「飛び出し」の楽しさが、アーヴィ
ングを読む楽しさのひとつであることは疑いなかろう。

アーヴィング作品としては【B+】か【A-】といったところか。小説として
質はもちろん高いが、アーヴィングとしては特別できが良いわけでも
ないような。

ちなみに今まで『また会う日まで』『未亡人の一年』以外は取りこぼし
なく長篇を読んできたが、大好きな【A+】評価の作品は『ホテル・ニュ
ーハンプシャー』。ちょっと落ちて【A】は『サイダーハウス・ルール』
『オウエンのために祈りを』『サーカスの息子』の3作。










『アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない』
町山智浩 著       文春文庫

相変わらずの「グロテスクなアメリカ」をえぐり出す刺激的なコラム集。
アーヴィングと並行して読んでいたのだが、何日かすると小説のエピ
ソードだったかこのコラムのエピソードだったか分からなくなってきた。

2012年12月28日金曜日

素晴らしき哉、人生!


☆☆☆★★★        フランク・キャプラ        1946年

名作とは聞いていたが、なるほど傑作。
アメリカではクリスマス時期に必ず放送されるらしいし、我が家では
クリスマスに必ずこの映画を観る、という文章も複数見た記憶があ
る(たしか和田誠とか)。それは良いかもしれん。
久しぶりに映画を観て泣いたぜ。

これで95本。あと5本!

                                                            12.23(日) BSプレミアム


2012年12月27日木曜日

息子


☆☆☆★★      山田洋次      1991年

いやあ、しみじみとおでんの大根のように沁みてくる良い作品
だった。映画の「勘所」をビシッと押さえてくるよね、山田洋次は。
だからこんなに量産しても高打率なんだろうなぁ。すごいよ。

女優ウォッチャーとしては、もちろん和久井映見。可憐である。
原田美枝子も「兄貴の嫁さん」役で出てるよ。

                                                                    12.22(土) STV


2012年12月25日火曜日

警察日記


☆☆☆★           久松静児          1955年

山田洋次セレクション。

東北の田舎を舞台にした、捨て子の姉弟をめぐる「ハートウォー
ミングな」映画。天才子役・二木てるみの名演が有名だそうであ
る。本作の森繁は、バリバリの東北弁を駆使している。なので、
この映画が『夫婦善哉』と同じ年の作品だというのが注目に値す
るわけである。小林信彦の表現を借りれば「デキるひとはちがう」
ということになる。

                                                          12.16(日) BSプレミアム


もののけ姫


☆☆☆☆★       宮崎駿       1997年

まさに映画の至宝。
同期の部屋にて、あらゆるカット、あらゆるセリフの素晴らし
さを称えながらにぎやかに鑑賞した。

何度観ても面白すぎて鳥肌が立つのは、これと『ラピュタ』
だな。

                                                                12.11(火) DVD


2012年12月24日月曜日

教祖誕生


☆☆☆★★        天間敏宏       1993年

この頃のビートたけしがたまらなく好きだ。今のたけしも良い
けど。でも私が8歳で映画に目覚めていれば、リアルタイムに
ギリギリ間に合って、この頃のたけしに熱狂できたのになぁ。

…むりか。

                                                             12.8(土) HBC


2012年12月22日土曜日

恋のロンドン狂騒曲


☆☆☆★         ウディ・アレン       2012年

いままでのウディ・アレン作品以上に賛否両論は…たぶん無い
だろう。いつも通りの、スキの無い、円熟の、鉄板の、脚本と演
出。スリリングさは無いものの、安心して愉快な時間を過ごせる
ことは請け合いである。

いつも通り、芸術家肌の主人公(今回は小説家ですよ)は、仕
事にも夫婦生活にも行き詰まり、若くてキレイなおねえちゃんに
フラフラと惹かれてゆく。今回はおまけにおじいちゃん(アンソニ
ー・ホプキンス)まで若いコールガールと結婚して若さを取り戻す
んだ、などと言い出す。最後にちょっとだけサスペンスの要素が
あるのが特色か。あとはいつも通りだね。

                                                            12.6(木) シアターキノ


2012年12月19日水曜日

ふがいない僕は空を見た


☆☆☆★★       タナダユキ       2012年

普通の映画で18禁ってなかなか最近見ないが、本作はその
まんまズバリ「性描写」によって18禁になっているという、男気
あふれる(?)作品である。田畑智子が、あの「私の青空」の
田畑智子が、コスプレ好きの欲求不満の主婦ということで、
高校生の永山絢斗くんに入れあげて……うん、まあ色んなこ
とがある。

いままでのタナダ作品以上に、賛否あるだろうと思うけれど、
この長尺を見せ切るだけでもそうとうの手腕が必要ですよ。
少なくとも私は全然退屈しなかった。

                                                         12.5(水) シアターキノ


2012年12月18日火曜日

釣りバカ日誌3


☆☆☆        栗山富夫        1990年

もちろん山田洋次セレクション。
だが観るべきところは……石田えりぐらい?

それでもそのへんの凡百の映画よりはずっとおもしろい。
ハマちゃんをどこへ左遷させればいいかの議論のところ
などは見事。

                                                 12.5(水) BSプレミアム


2012年12月17日月曜日

冬の読書


『悪人』
吉田修一 著    朝日文庫

これはすごかった。この描き込まれた重層性、きみはドストエフ
スキーか! 描かれた人物たちが、みな眼前にありありと浮か
ぶようである。それが増尾の友だちやヘルス嬢のような脇役に
至るまでそうなのだから、その筆力には恐れ入る。

"吉田修一好き"を標榜していながら、この代表作を読んでいない
のは「マズいよなぁ」とずっと思っていたので、ようやく約束を果た
したような感じがする。

吉田作品で文庫になってるのはほとんど読んでいるが、物語に
「引きずり込む」力は一番強いかもしれない。あまりの面白さに、
熱中して思わず上下巻を3日で読んでしまった。

いったい誰が「悪人」なのか。それがすんなり判るんであれば、こ
んな小説は要らないってことなのだろう。素晴らしい小説でした。







『うほほいシネクラブ 街場の映画論
内田樹 著     文春新書

とにかく「読ます」ね、このひとは。"解釈病"と自らを揶揄している
が、どんなにくだらない映画にも、もっともらしい解釈を加えずには
いられないらしい。「○○は実は△△だったのだ」という形式が多
いのだが、そこにひとを惹きつけるキャッチーなものを持って来る
才がある。

今回は、そのウチダ先生をもってして思わず解釈を放棄させかけ
たデヴィッド・リンチ評がおもしろい。村上春樹の世界と「世界の描
き方において」通じるものがある、としばしば言われるリンチ。なの
で、当然批評界のハスミンはリンチは嫌いらしいが。
かくいう私は、デヴィッド・リンチが大好きである。誰それ、気になる、
という方は『マルホランド・ドライブ』をぜひどうぞ。ちょい怖なので注
意ですが。


2012年12月14日金曜日

楢山節考


☆☆☆★★       木下恵介      1958年

これも山田洋次セレクション。
まだまだあるよ。

全篇セットによる撮影と聞いてから観ると驚きも倍加。
「つくりもの」としての映画を極限まで突き詰めた傑作である。

画像はおりん(田中絹代)。
「もう歯がダメだでぇ」と血まみれの前歯で嬉しそうに笑う。
小さい頃に見ていたらトラウマ間違いなし。

                                                    12.4(火) BSプレミアム


2012年12月13日木曜日

エドワード・サイード OUT OF PLACE


☆☆★★★       佐藤真       2006年

サイードの死後、ゆかりのある土地、ひとびとを、サイード
後期の著作に導かれて旅したドキュメンタリー。

しかし、うーむ。意外にとっつきにくいな。
引用とインタビューとが繰り返されるが、どこへ向かってい
るのか判らない。もう少し「導いて」くれるのかと思ったが、
そうでもないし。

なにせサイードを1冊も読んでないからな。…そのせいか!

                                                              12.3(月) DVD


2012年12月12日水曜日

風の中の子供


☆☆☆       清水宏        1937年

山田洋次セレクションはまだ続くよ。

自分がこの映画の宣伝担当なら

「『大人は判ってくれない』は20年前に日本で撮られていた。
子供映画の傑作!」

ぐらいブチあげたい所だが、実際まあそれほど面白くもなかっ
たので、そう持ち上げなくてもいいか。

                                                      12.3(月) BSプレミアム


2012年12月10日月曜日

蒲田行進曲


☆☆☆★★       深作欣二        1982年

山田洋次セレクションは続く。

いわずと知れた、つかこうへいの劇作を映画化したもの。
これはおもしろかったな。

プライドの高い女優も、エプロン姿で家事に追われる主婦も、
どちらも違和感がない松坂慶子はさすが。

ヤスの実家の花嫁歓迎ぶりに、久々に大笑いしてしまった。
最高。

                                                   11.30(金) BSプレミアム


2012年12月9日日曜日

次郎長三国志 第三部 次郎長と石松


☆☆☆★       マキノ雅弘      1953年

森繁演じる"ドモりの石松"が愛敬があって良い。
小泉博は、ひとの財布勝手に持って行くんだから宿代は森繁
のぶんまで払ったのかと思ってたら、それも払わずに行ったの
かよ! ひどい。

チンチロリンの場面はなかなかの迫力。
よござんすか、よござんすね。

                                                     11.25(日) BSプレミアム


2012年12月8日土曜日

気狂いピエロ


☆☆☆★★       ジャン=リュック・ゴダール      1965年

6年ぶりぐらいに再見。
他人に迷惑をかけながらの「逃避行もの」はあまり好きではない
が、これはアリだな。しかし観たそばから内容を忘れていく。観て
からまだ1週間あまりだが、もう数シーンしか思い出せないという
のは、笑っていいのやら…。

                                                                      11.25(日) DVD


2012年12月4日火曜日

悪の教典


☆☆☆★★         三池崇史       2012年

話題作だね。
観るつもり無かったのだが、予告編がおもしろそうだったので、
二階堂ふみも出てるし、観ることにした。

前半にはおおむね満足。凄惨なカタストロフが到来する予感に
思わず胸が高鳴る。三池崇史、盛り上げ方はさすがに巧い。

主人公の英語教師"ハスミン"は、自分の正体に気が付いた者
を順番に、静かに(でもないか)、抹殺していくのだが、こんなこ
とがそう永く続くはずがないというのは、ハスミンも観客も分かっ
ている。いつ破局が訪れるのだろうか、とドキドキしていると、文
化祭を準備中の校舎で、あるちょっとしたアクシデントをきっかけ
に、突如として殺戮は始まる。

……ここまでは良かった。

しかし、後半の大量殺戮の場面には段々とうんざりし始めたこと
は言っておかなくてはなるまい。まず、猟銃でひとりずつ殺すに
は人数が多いね。それと関連したことだけど、全員が泣き叫んで
逃げ回るばかりで、アーチェリー部の彼以外に誰もハスミンに立
ち向かって行くだとか、せめて物陰で待ち伏せて逆襲するだと
かを考えないのはいくらなんでも不自然ではないか。高校生なん
だから、あれだけ人数(42人)がいたら、5~6人は「よっしゃ、俺
が逆にぶち殺したる!」という気骨のある奴が居てもよさそうだ。

                                      11.24(土) ワーナーマイカルシネマズ釧路


2012年12月3日月曜日

人生の特等席


☆☆☆★★        ロバート・ロレンツ       2012年

イーストウッド御大が演じる"ガス"は老スカウトマン。全米に星
の数ほどいる高校球児の中から金の卵を見付ける仕事である。
見付け出せば、何億ものカネが動くことになる重要な仕事だ。
いつもスーツケース1つで地方から地方を飛び回っている。妻は
何年も前に亡くした。一人娘(エイミー・アダムス)はまっとうに育
ち、今では優秀な弁護士だが、親子の仲はうまくいっているとは
言い難い。しかも自身の視力の衰えが明らかなレベルになって
きており、実はピッチャーの球筋も、バッターのスイングの細か
な所も、よく見えていない。

とまあ色々な"トラブル"で満載な様子がはじめ描写されてはいる
が、2時間後にはすべての「うまくいっていなかったこと」は一掃さ
れ、ガスは球団との契約を更新し、娘とは和解し、娘は娘で、仕
事はうまくいくは父親公認の恋人はできるはで、めでたいことこの
上なく、観客としても当然イーストウッド親子に肩入れしてますから、
ハッピーな気分で劇場をあとにすることができるのである。

欲しいところに球が来る、行き届いた脚本と演出があり、主演の
イーストウッドはあくまでシブく、娘のエイミーはつんつんしてて可
愛く、まったく申し分ないわけで。

                                     11.23(金) ワーナーマイカルシネマズ釧路


2012年12月1日土曜日

I'M FLASH!


☆☆☆★        豊田利晃       2012年

珍しくミニシアターぽいやつが釧路のワーナーで観られる
というので、出かける。東京に居たらおそらく観なかったで
あろう。
舞台は沖縄。冒頭のシークエンスは深夜、藤原竜也と水原
希子の乗る赤い高級車が一般道を疾走している。一方、
TSUTAYAにビデオを返しに行く柄本祐も、バイクを相当な
速度で疾駆させている。予感に満ちたカットバックが続き、
案の定、トンネルで両者は衝突する。

藤原竜也は教祖様、松田龍平はそのボディガードとして雇
われるのであるが、結局まあストーリーはあまり重要ではない
ようだ。爆音と暴力とカットがすべて、という感じの映画。「蘇
りの血」もそういう感じだったな、そういえば。

                                11.23(金) ワーナーマイカルシネマズ釧路


2012年11月27日火曜日

鍵泥棒のメソッド


☆☆☆★★★       内田けんじ        2012年

絶好調ですなぁ、内田監督。
開巻からエンドロールまで、ひたすらに「愉快じゃ愉快じゃ。
苦しゅうない」と楽しんでいるだけでいい。そういう映画である。
誰かを(身体的に/精神的に)傷つけなくとも、またきわどい
描写などなくとも、良い映画は作れるんだ、と今更ながら目か
ら鱗が落ちる思い。文化庁の補助金なんかもらってほんとうに
良い映画が作れるのかよ、と『天地明察』の感想で若干バカ
にしたニュアンスを込めて書いたのであるが、どうやら私が間
違っていたようだ。文化庁の補助金をもらっても、良い映画は
作れるのです!

広末は、一瞬ミスキャストか、と思わせておいて、実はけっこ
ういい。なにせ可愛い(結局そこか)。

                               11.22(木) ワーナーマイカルシネマズ釧路


2012年11月26日月曜日

フレンチ・コネクション2


☆☆☆         ジョン・フランケンハイマー      1975年

げに続篇とはむずかしきものよ。
この程度の続篇であれば、無いほうがいいんだよなー。

                                                      11.18(日)  BSプレミアム


2012年11月25日日曜日

秋の読書②


『異邦人』
アルベール・カミュ 著   窪田啓作 訳    新潮文庫

内田樹の「アルジェリアの影」を読んで以来、カミュが気になる。
実は高校の頃『ペスト』を途中で挫折したことがある以外、カミュ
を1冊も読んだことがない。
ということで「初カミュ」です。

しかしこの『異邦人』ほど「読んでなくても伝わってきてしまう情報」
の多い本はなかろう。「きょう、ママンが死んだ」も「太陽のせい」
も「主人公は死刑になる」も、なぜか読む前から知っている。なん
なら「ムルソー」という主人公の名前も「不条理」というキーワードも、
すでに事前情報としてある。あるいは映画の予告編を先に見せら
れているようなものか。

なので、読んでみて「予告編」と違った印象だったことだけ書くが、
私はムルソーという人間にとても親近感を感じた。ムルソーの"虚
無感"は、現代に生きる者にけっこう通じるものがあると一読して
思った。私が普段感じていること、私の無気力の源のようなものの
所在に光を当てられたような気にもなったのである。無気力に「源」
があるのか、という話にもなるが。









『結局、どうして面白いのか 「水曜どうでしょう」のしくみ
佐々木玲仁 著     フィルムアート社

題名の通りの本です。
著者は「物語」「メタ物語」という概念を導入することで「どうでしょう」
の面白さの仕組みを解き明かそうと試みています。そしてその試み
はある程度成功しているように思います。
我々「どうでしょうファン」=「どうでしょう班」は、これからもずっと「結
局、どうして面白いのか」と問い続けながら、どうでしょうの新作を待
ち焦がれ、過去のDVDを繰り返し繰り返し観るべきなのでしょう。そ
れは甘美な宿命にも似ています。



2012年11月22日木曜日

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q


☆☆☆★★        庵野秀明      2012年

なるほど……。

映画としての満足度は、まあこの点数か。
これから観るひとのために、詳しくは書きませんが。

「誰が」「どういう思惑をもって」「何をしたいのか」がちっとも
分からないまま90分が過ぎていくのだけれど、それでいて
視線と心とは抗いがたくスクリーンに釘付け、というわけで
ある。

さあ次でどうオトシマエを付けてくるのか。楽しみだね。

                              11.18(日) ワーナーマイカルシネマズ釧路


2012年11月21日水曜日

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破


☆☆☆★★★         庵野秀明       2009年

公開時に観て以来、3年ぶりに再見。
観客サービス的な分かり易さとストーリーのねじくれた難解
さがいとも容易く同居するのもアニメという手法ならではか。

初号機のダミーシステムがアスカを…のシーンは、二度目
でもあまりのおぞましさに鳥肌が立つ。

さて、それでは『Q』を観に行って来ます!

                                                              11.17(土) STV


2012年11月19日月曜日

アルゴ


☆☆☆★★        ベン・アフレック       2012年

とても良い出来だった。これぞサスペンス。文字通り
「手に汗にぎる」展開。
イランのひとは怒りそうだけど。

着実に監督としてのキャリアを積んできてますな。
未来のイーストウッドと呼ばれるだけある。

                                                11.12(月)  チネチッタ


2012年11月18日日曜日

ラヴィ・ド・ボエーム


☆☆★★★      アキ・カウリスマキ      1992年

プッチーニのオペラ「ラ・ボエーム」の翻案とのこと。
そのオペラを全く知らない無教養なわたくしとしては、純粋に
映画として観るよりほか無いのであるが、中身にはあまり感心
しませんでした。感心しなかったというか、退屈だったというか。

『ル・アーヴル』と同じ役者が主要な役を務めており、主人公
の名前「マルセル・マルクス」は一緒である。

                                                         11.11(日) 早稲田松竹


2012年11月17日土曜日

ル・アーヴルの靴みがき


☆☆☆★        アキ・カウリスマキ      2012年

いいですなー、カウリスマキ。
図式的な映画なのだが、これほど人間味を感じさせてくれる
監督もいない。トボけていて、おかしくて、ハートウォーミング
である。みんなが幸せになる。

                                                       11.11(日) 早稲田松竹


2012年11月16日金曜日

プーサン


☆☆☆           市川崑          1953年

なんともシュールな喜劇映画で、伊藤雄之助演じる主
人公は、情けなくも不気味である。

女優ウォッチャーとして特筆すべきは、若いなんてもん
じゃない八千草薫が見られること。

                                                  11.10(土) BSプレミアム


2012年11月11日日曜日

秋の読書

秋になり、減退気味だった読書欲が多少回復してきている
気がする。本を読みたくなる一番の動機はやはり、面白い
本に出会うことですね。

『トリュフォーの手紙』

山田宏一 著    平凡社

ひさびさに「読み終わるのが惜しい」本だった。
ゴダールとトリュフォーの美しい友情……。
もっとトリュフォーの映画を観よう。

若かりし頃、「映画好きなら当然観てるでしょ圧力」に押される
ままに、あまりおもしろくはないなと思いながら何十本もヌーヴェ
ル・ヴァーグの映画を観ていた(私のような)ひとに、本書は是非
おすすめしたい。映画に全てを捧げ尽くし、なおかつ自分の映
画の主演女優に恋し続ける、そんな人生もあるんですなぁ。
やっぱフランス人っていうのが画になるよね。









『人は成熟するにつれて若くなる』

ヘルマン・ヘッセ 著  岡田朝雄 訳   草思社文庫

全篇を通して「老いる」ことを主題にしたヘッセ先生の随筆が
延々と…。読むのになかなか苦労した。



2012年11月10日土曜日

フレンチ・コネクション


☆☆☆★★★    ウィリアム・フリードキン   1972年

ビックリするわ、どんだけおもしろいんだよ。
次は劇場で観たいね。

                                                         11.05(月) BSプレミアム


2012年11月6日火曜日

終の信託


☆☆☆★★      周防正行      2012年

周防さんが監督というのも当然あるが、予告編で見た浅野
忠信の憎たらしい演技(「え俺結婚するなんて言ったっけ?」)
が素晴らしかったので、観ることにした。
前半、割合かったるいのだけど、後半いよいよ威圧的な大沢
たかおが登場し、"重厚な会話劇"の様相を呈し始めてからは、
ラストまで一気呵成だった。エンドロールの簡潔さにも感心。
なにしろ役者が少ないからね。セリフのある役者、はたして10
人出てたか?

しかし「終末医療」を真正面から取り上げたこんなにも「ヒットの
望めない映画」の製作に亀山千広とフジテレビの名前がある
のは、いったいどういうカラクリがあるんでしょう。映画ビジネス
のことはよくわかりませんが、もちろん儲かる打算があるから
出資するんだよねー?

                                  10.31(水) ワーナーマイカルシネマズ釧路


2012年11月3日土曜日

【LIVE!】 THE BACK HORN


KYO-MEIツアー ~リヴスコール~

                          10/10  釧路Club Green

まだツアーは続いているので、セットリストは載せないでおきます。

釧路にもライブハウスがあるんですなー。
しかもPAの音は帯広のRESTより全然良かったよ。
ミキサーの腕なのか機材なのかは分からないけど。

ベストアクトは"シンフォニア"でした。
こんなにもライブでの爆発力のある曲だとは思わなかった。
これから定番になっていくのかな。そういう普遍性も兼ね備えた
曲ですな。

自転車でライブを観に行ったことはあったが、ついに「徒歩で」観に
行くライブ。LOHASですなー。LOHASって何だったっけ?

2012年11月1日木曜日

シコふんじゃった。


☆☆☆★★      周防正行      1992年

『終の信託』の予習ということで、BSでの放送からすでに
半年は放置していた本作を鑑賞。いやはや、うまいですね。
特に弱小相撲部に集まるキャラクターの揃え方には脱帽。

                                                10.28(日)  BSプレミアム


2012年10月28日日曜日

大人は判ってくれない


☆☆☆★★     フランソワ・トリュフォー     1959年

いま『トリュフォーの手紙』(山田宏一)をちょっとずつ読んでいる。
たいへんおもしろい。ゴダールとトリュフォーがこんなにも深い友情
で結ばれていたとはついぞ知らなかった。
ヌーヴェル・ヴァーグとは、半分以上ゴダールとトリュフォーの共闘
の歴史なのだね。ふたりの手紙を読んでいると、フリッパーズ・ギタ
ーのふたりのことが浮かんでくるのは私だけだろうか。

まだ読んでいる途中だが、当然のように、名前の出て来る映画をム
ラムラっと衝動的に観たくなってくる。それで借りてきて観てしまった。
6年ぶりぐらいに観たな。『あこがれ』とどっちにしようかと思ったが、
釧路のTSUTAYAには『あこがれ』は無かった。

                                                                     10.21(日) DVD


2012年10月22日月曜日

人生万歳!


☆☆☆★★       ウディ・アレン     2010年

ウディ先生の良いところは、自分の願望(性的なものも当然なが
ら含む)を隠そうともしないところです。オープン。"妄想力"で俺
に勝てるやつがいたらいつでもかかって来い、という感じです。
恐れ入ります。

落ちぶれたかつての物理学の大学教授のところに、発育の良い
家出少女(エヴァン・レイチェル・ウッド)が転がり込んでくるところ
から話は始まる。無学な田舎少女は、ニューヨークの何たるかを
知らず、芸術の何たるかを知らず、物理学の何たるかは当然の
ごとく知らない。偏屈な教授が、いろいろなことを仕方なく教育し
てやっているうちに、少女は教授のことが好きになったから結婚
してくれと言い出す、という、まあ、ええ、ロマンティック・コメディ
なんですがね…。

いやぁ、このしょーもない話をウディ・アレンが映画にするとおもし
ろいってんだから、やはり粗筋では映画の本当のところは分から
ないということですね。人生万歳!

原題は「Whatever works」劇中では「何でもあり」と訳されていた。

                                                                 10.13(土) BS-TBS


2012年10月20日土曜日

ウディ・アレンの夢と犯罪

☆☆☆      ウディ・アレン     2010年

『マッチポイント』『タロットカード殺人事件』そして本作
『夢と犯罪』が、ウディ先生がロンドンで撮った3部作と
いうことになる。要するにロンドン3部作は、笑い無しの
クライム・サスペンス3部作でもあるわけで。

本作はヨットと女と殺人の物語。名作『太陽がいっぱい』
を否が応にも思い出させる。なぜかたいしておもしろく
なかったけど。

                                                   10.13(土) BS日テレ


2012年10月19日金曜日

アウトレイジ ビヨンド


☆☆☆★★★        北野武      2012年

参りました。大傑作です。
2012年を代表する映画になることは間違いない。
たけしが挑もうとしているものは、『仁義なき戦い』であり、また
自分の師匠でもある深作欣二そのひとである。

画像は激昂する石原(加瀬亮)。
この映画で加瀬亮は、青筋立てて怒りを抑えているか、怒りを
爆発させているかのどちらかである。
加瀬亮も良かったけど、新井浩文と桐谷健太が実に良かった。

                                        10.12(金) ワーナーマイカルシネマズ釧路



2012年10月17日水曜日

豚と軍艦


☆☆☆★        今村昌平      1961年

山本晋也の解説に教えられたのだが、こういうイマヘイ作品を
"重喜劇"というんだそうである。たしかに全篇シリアスで、喜劇
的な要素はほとんど無い。あまりに悲惨な状況、あまりに悲惨
な運命に、"逆に"笑えてくる、という苦い笑いを誘発するという
ことか。
スチール写真の雰囲気とタイトルから、もっと痛快なのを期待し
たので、ちょっとアテが外れたかな。この辺の長門裕之はます
ます桑田佳祐に"激似"になってくる。こういう軽薄な役が似合う
役者が好きだ。

                                                       10.11(木) BSプレミアム


2012年10月16日火曜日

桐島、部活やめるってよ


☆☆☆★★★      吉田大八     2012年

同じ時間を反復して見せる手法、そして反復してまで聞かされる
高校生たちのしょーもない会話、桐島の"不在"によりなぜか過剰
なまでに動揺する生徒たち。この辺を楽しめるかどうか、もっとい
えばその時点で「既に魅了されているかどうか」で、本作の評価は
全然違ってくるだろうと思う。
キネ旬をめくると否定的な意見も聞かれるようだが、私は断固この
映画を擁護したい。傑作。映画として楽しいじゃないですか。

色々なキャラが出て来るが、やはり野球部のキャプテンが最高
だよね!

                                                              10.2(火) 渋谷TOEI


2012年10月15日月曜日

夢売るふたり


☆☆☆★★           西川美和           2012年

闇の中で閃く白刃のような、鋭利な「細部」は健在。それを
堪能するだけでも入場料の元は取れる。ただ今回、いつも
と違うのは、時に大胆な「省略」をしている点だろう。つまり、
阿部サダヲが結婚をチラつかせて次々と女たちをダマす、
その"過程"が意図的に省かれている。それは時間的な制
約もあるだろうし、映画のリズムとしてその方がいいと判断
したのもあるだろう。
私はなんとなくそのせいで、映画の"絵空事"感がヘンに強
調されたような、薄っぺらくなったような気がして物足りなくも
思ったのだけれど、どうでしょう。

しかしシビれるシーンも多数。やはりいま映画作家の最高峰
にいるひとりだと確信した次第。

                                     10.2(火) ヒューマントラストシネマ渋谷


2012年10月14日日曜日

ヴァンパイア


☆☆☆★★      岩井俊二      2012年

なかなか変わった映画だし、とても思い入れの強い監督でも
あるので、短く感想を言うのは難しい。
まったくもって「万人に薦められる」映画ではないが、色んな
ひとに観てもらいたいような気もする。残虐シーンがあるので、
そういうのが大丈夫なひと限定だけど。

それにしても、岩井俊二の新作だというのに巷は盛り上がって
はいませんな。8年ぶりですよ、8年! 思えば8年前、私が映画
を「数打ちゃ当たる」式にガンガン観始めたのとちょうど軌を一
にして、当時一番好きだった岩井俊二は映画を撮らなくなった
のである。やっぱコンスタントに撮ってくれないと評価にも困る
よね。なにも三池崇史みたいに撮れとは言わないからさ…。

                                                       9.22(土)  シネマライズ


2012年10月13日土曜日

お嬢さん乾杯

☆☆☆★       木下恵介      1949年

「万人受けする木下監督一流の軽妙な喜劇」と聞いて、「ほほう、
どんなもんだろう」と思っていたのだけど、ちょっと期待が過ぎた
かな、という印象。当時の銀座四丁目あたりの風景が出てきて
なかなか興味深い。

                                             9.18(火)  BSプレミアム