2010年11月18日木曜日

息もできない

☆☆☆★★      ヤン・イクチュン     2010年

主人公は暴力を厭わず、金を返さないやつに殴る蹴るは
当たり前という、容赦ない借金取立て屋のチンピラ。見る
からに凶悪なツラがまえをしている。が、実は監督・脚本・
主演のヤン・イクチュンその人らしい。エンドクレジットでも
それは分からず(ハングルだったので)、帰って来てネット
で情報を見ていて驚愕。
そのチンピラだが、彼の家庭は彼が幼いときから荒廃して
いる。そして、同じように崩壊した家庭に身を置き、家では
心休まることがなく、学校にもなじめない一人の少女が、こ
の強面のチンピラと出会い、徐々に心を通わせていく、とい
うお話。

韓国映画というものは表現がストレートで、ベタになってしま
うことを恐れない。という傾向があると思う。本作にも、「おい
ちょっとやめろよ。照れるだろ」と言いたくなるようなベタな表
現が散見。人を殴って稼いだ金で、チンピラが甥っ子にこっ
そりお菓子やらおもちゃを買ってやっている「ほんとは心優し
い男」の描写なんて、邦画だともう恥ずかしくてできない。そ
れを無自覚にやるような映画には、ロクなものはないと思っ
て間違いないが、本作ではそれほど違和感なく観れるのが
不思議である。チンピラが少女の膝の上で思わず泣き出す
シーンなど、けっこうベタに感動する。

ひねくれてるのも好きだが、ストレートなのもたまにはいいな、
という気になった。秀作といって良いと思う。

                                            11.9(火)  早稲田松竹

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