2010年9月11日土曜日

夏の朝の成層圏

池澤夏樹 著    中公文庫


池澤夏樹のデビュー作、とのこと。
実はよく知らないまま、同期が貸してくれたので読んだ。
独り暮らしにしては立派な5段組の彼の本棚を前に、「何か貸せ」と言っ
たら、池澤夏樹を偏愛する彼が(たぶんテキトーに)これを選んだ。
マグロ漁船を取材中に船から落ちた新聞記者が、無人島に流れ着いて、
そのへんの椰子の実とかバナナとかでひとまず生活する、という話で、
現代の文明社会に生きるわれわれが一度はやってみたい(ですよね?)
生活が描かれる。文明から隔絶された所で生活してみたい、という漠然
とした憧れを刺激されて、読んでいて楽しかった。厄介な虫とか猛獣も
居ない南の島ということなので、なおさらである。
会話する相手がいないため、地の文がずーっと続くが、なかなか文章が
巧い。デビュー作にして、たいしたものだと思う。
芥川賞をとった「スティル・ライフ」より面白いんじゃないかと思った。

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